2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on the metabolic effects of endocrine-disrupting chemicals on nuclear receptors
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18KK0320
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 綾美 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60404050)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | エネルギー代謝 / 活性発現の分子機構 / 人体有害物質 / 生物活性分子 / 内分泌かく乱物質 / 微量化学物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスチック原料であるビスフェノールA(BPA)は、いわゆる環境ホルモンとして知られる有害環境化学物質である。近年、この代替として、BPA誘導体である、新世代ビスフェノールが使用されている。しかし、これらの安全性研究はほとんど行われていない。こうしたなか、新世代ビスフェノールによるエストロゲン受容体αの活性が、核内受容体が複数存在することにより増強されることを見出した。これを解明する基課題を実施している。この研究過程で、新世代ビスフェノールを胎仔期暴露して生まれた仔マウスは、比較対照群よりも太るという意外な現象に気がついた。この解明のために、ホルモン受容体と代謝異常研究の第一人者であるEvans教授のノックアウトマウスを用いた国際共同研究を行う。本国際共同研究は、生殖系や脳神経系の悪影響が注目される有害環境化学物質研究において、世界的な新展開を導く。 初年度である本年度は、海外共同研究者の受け入れ態勢の都合により、当初計画では第二年度に予定していた研究代表者の渡航を前倒しして実施した。渡航先のEvans教授は、新世代ビスフェノールが結合する核内受容体であるエストロゲン受容体γ型(ERRγ)をタモキシフェンの投与により時期特異的に自在にノックアウトできる、コンディショナルノックアウトマウスを世界で唯一保有する。ERRγのノックアウトマウスは致死であり生存できない。そこで、このコンディショナルノックアウトマウスを用いて、タモキシフェンの投与によるERRγのノックアウトの効率を臓器ごとにはじめて詳細に解析した。複数の臓器において、ERRγの完全なノックアウトが実現していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の当初計画では、初年度は新世代ビスフェノール暴露マウスの行動解析を日本で実施する予定であった。しかし、海外共同研究者の受け入れ態勢の都合により、当初計画では第二年度に予定していた研究代表者の渡航を前倒しして実施することとした。これにより、Evans教授が保有する、ERRγをタモキシフェンの投与により時期特異的に自在にノックアウトできる、コンディショナルノックアウトマウスを用いて、タモキシフェンの投与によるERRγのノックアウトの効率を詳細に解析することができた。なお、コンディショナルノックアウトマウスに対する新世代ビスフェノールの暴露は、時間の制約上、実施しないこととした。また、幸いにも年度後半のコロナウイルス感染拡大の前に帰国できた。しかし、培養細胞を用いた新世代ビスフェノールの暴露実験は、想定外の納品遅れなどにより、実施できなかった。このように、年度前半は計画以上に進展たものの、年度後半には、試験予定の化合物の納期が遅れたことにより、若干の計画の遅れが見られた。しかし、現在のところ、研究計画遂行上の深刻な問題は生じていない。総合的には、初年度において、当初計画以上の成果を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス感染拡大の影響により、納品が遅れている試験化合物については、納品され次第実験をする予定である。培養細胞における発現遺伝子の解析と新世代ビスフェノール胎仔期暴露マウスの胎仔脳を用いた、発現遺伝子の網羅的解析およびクロマチン免疫沈降シークエンス解析を実施する予定である。こうして、胎仔期暴露特有の新世代ビスフェノールの影響を詳細に解明する。特に、代謝関連遺伝子の発現変動に注目している。訪問先における実験結果についても継続して議論するとともに、行動解析など、滞在先では行なっていない実験についても新世代ビスフェノール暴露の影響を解析する。これには、当初計画の通りに第三年度での実施を予定しているが、実験の進展状況に応じて、可能であれば第二年度に始めたい。 しかし、研究を遂行する上で解決すべき課題として、コロナウイルス感染拡大のために、福岡県が緊急事態宣言の対象地区となり、実験ができない状態となっている。現時点で実験再開の目処が立っていないという、当初計画の時点では全く想定していなかった事態となり、大変に困っている。訪問先も似たような状況となっており、状況が改善され次第、実験を再開、継続する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 新世代ビスフェノールのヒト核内受容体に対する結合活性2019
Author(s)
劉暁輝, 酒井大樹, 錦織充広, 巣山慶太郎, 縄司奨, 池田伸, 西垣内誠, 岡田浩幸, 松島綾美, 野瀬健, 下東美樹, 下東康幸
Organizer
第 92 回日本生化学会大会
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