2021 Fiscal Year Research-status Report
赤外円二色性とラマン光学活性による中分子・極性分子の高精度構造解析法の開発
Project/Area Number |
18KK0394
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷口 透 北海道大学, 先端生命科学研究院, 講師 (00587123)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 円二色性 / ラマン光学活性 / 構造決定 / 柔軟分子 / 中分子 / 理論計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
中分子や柔軟分子のような新奇分子の構造を簡便に分析する手法の開発に向けて、基課題(18H02093)では赤外円二色性(VCD)分光法を用いた研究を進めているが、本課題(18KK0394)ではVCDに加えてラマン光学活性(ROA)分光法を用いた研究を進めている。本申請研究では、ROA測定用の各種分子を国内で有機合成し、国際共同研究先にてROAスペクトルを測定、さらに得られたROAスペクトルを国内における理論計算によって解釈することによる構造解析法の確立を目指したVCD・ROA研究を推進する計画だった。しかし、2020年度に引き続き2021年度もコロナウイルスの影響によって入国制限・帰国制限・海外出張制限を課されるとともに、共同研究先のロイヤルメルボルン工科大学の研究室も長期にわたって閉鎖されたため、渡航できなかった。 本研究に関連した国内での研究は次の通りである。ROAスペクトル(2019年に測定)を元に構造を分析する方法として、分子動力学(MD)計算とQM/MM法を併用したスペクトル構造計算法の確立を国内で進めてきた。本法はまだ改良の余地があるものの、水中における単糖のスペクトルを計算するには十分な精度が得られるようになってきた。この計算法を利用し、水中における単糖の構造についてVCDスペクトルを用いて解明し、論文発表した。また2400-1900 cm-1領域の振動プローブについても研究を進め、振動領域光学活性測定に有用な官能基について知見を得て、本結果についても論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請研究では、ROA測定用の各種分子を国内で有機合成し、共同研究先にてROAスペクトルを測定することによって研究を進める計画だったが、2020年度・2021年度ともにコロナウイルスの影響によって共同研究先の大学が長期にわたって閉鎖されたことなどによる影響のため、共同研究をほとんど進められなかった。 一方で、2019年に渡航した際に得られた、理論計算に関する知見を活用して水中における単糖の構造についてVCDスペクトルを用いて解明し、論文発表した。また、VCD・ROA測定に有用な、2400-1900 cm-1領域の振動プローブについても研究を進め、本結果についても論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の渡航先であるロイヤルメルボルン工科大学のブランチ教授のROA分光器は大学の長期閉鎖中に不具合が生じている。ブランチ教授とも協議の上、新たな共同研究者を加えて今後さらに研究を進める予定である。2022年春には新たな共同研究先への渡航も計画しており、論文化まで間近となっていたヌクレオシドのROA構造解析研究について、2022年度前半での論文化を目指す。国際共同研究ということでコロナウイルスの影響を多大に受けるため、今後の情勢を見極めながら柔軟に研究を推進する。
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Research Products
(2 results)