2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞内亜鉛とTGF-βシグナル制御による好酸球性副鼻腔炎の新規治療法の開発
Project/Area Number |
18KK0444
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 正宣 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70455658)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 / アレルギー学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、難治性副鼻腔炎は増加傾向にある。中でも鼻茸を伴う副鼻腔炎 (Chronic rhinosinusitis with nasal polyps; CRSwNP 好酸球性副鼻腔炎の多くの症例がこれに該当する。ヨーロッパの最新のガイドラインEPOS2020ではPrimary, diffuse, Type2, CRSに分類される)に対して治療戦略上のブレイクスルーが期待されている。その病態はA. 鼻粘膜上皮のバリア機能の低下を背景としたTSLPやインターロイキン33等のサイトカイン産生亢進を契機に、B. Th2優位の免疫応答(Type2炎症)が生じ、その結果として、 C. リモデリングが生じフィブリン網形成やコラーゲンの低下による浮腫が遷延し、鼻茸が形成されると考えられている。申請者らのグループはCRSwNPにおいて、鼻粘膜組織中にみられる亜鉛が低下していることを明らかにした。そこで、本研究課題ではこの組織中低亜鉛が上記のそれぞれの病態にどのように関与しているかを明らかにすることを目的としている。
本年度は、鼻粘膜上皮細胞のサイトカイン産生における低亜鉛の影響を検討した。鼻粘膜上皮細胞用の低亜鉛培地を作製し、ヒト初代継代・鼻粘膜上皮細胞を培養。LDH Assayなどで細胞毒性を評価し、培養期間の最適化を行った。その上で、代表的なNFκB(エヌエフカッパービー)の下流遺伝子であるインターロイキン6、インターロイキン8などの発現をELISA法で検討した。結果、これらのサイトカインは低亜鉛培養によって発現が制御されることが判明した。 また、鼻ポリープ由来の組織検体等で構成されたTMA(Tissue micro array)を用い、偏光顕微鏡、特殊免疫染色で組織内亜鉛とコラーゲン、各種タンパク質の発現、臨床情報を解析した。その結果、コラーゲンと組織内亜鉛の間に有意な相関が確認された。これらの結果からは、鼻ポリープの病態の各ステージに低亜鉛が関与する可能性が想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに低亜鉛が鼻ポリープの病態を形成する複数の因子に関与しうることを明らかにし、海外専門誌で公表している。一方、オーストラリアで予定していた動物実験はCovid-19の影響で進行できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、慢性副鼻腔炎における組織内低亜鉛の原因を追求する。具体的には、血清中の亜鉛、鼻汁中の亜鉛を測定し、組織中亜鉛との相関を検討する。 また血清、鼻汁、組織の亜鉛濃度変化によるクラスター分類を試みる。各クラスターにおける臨床症状を検討する。 さらに、組織中亜鉛を簡便に検討できる、臨床応用可能なバイオマーカーを特定する。 これらの研究結果は国内外の学会で発表し、海外専門誌で公表する予定である。
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