2019 Fiscal Year Research-status Report
Cross-boundary Studies of Rethinking of Global Studies from the Indigenous people's points of view
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18KT0005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池田 光穂 大阪大学, COデザインセンター, 教授 (40211718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 幸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (10451395)
瀬口 典子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10642093)
辻 康夫 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20197685)
關 雄二 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (50163093)
太田 好信 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (60203808)
加藤 博文 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (60333580)
石垣 直 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (60582153)
細川 弘明 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70165554) [Withdrawn]
丹菊 逸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (80397009)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 先住民 / 遺骨返還請求運動 / 先住民考古学 / 先住民学教育 / 博物館人類学 / マイノリティ政治 / アイヌ語継承運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年11月20日から24日までカナダ・バンクーバーで開催されたアメリカ人類学会大会で、本研究課題に関する(1)日本における先住民遺骨返還請求運動、(2)先住民の文化提示と博物館の役割、(3)先住民考古学における事物の世界流通に関して、研究班のそれぞれ、(1)太田・瀬口・池田、(2)山崎、(3)加藤、がそれぞれのパネル分科会を組織し発表した。また参加者との議論ならびに情報交換に努めた。これらの発表の成果は次年度のJapanese Review of Cultural Anthropology 等に投稿する計画をたてている。そのための研究会を開催して内容を精査検討した。辻は、文化アプローチによるマイノリティ文化用語の可能性について文献調査を継続している。丹菊はユジノサハリンスクで開催された先住民の言語文化シンポジウムにおいてアイヌ語継承運動についての発表をおこなうと共に、教材絵本『ラッコパッコ』制作運動に関わり言語研修をおこなった。関は、ペルー・インガピルカ遺跡をめぐる先住民考古学とツーリズムならびに文化管理の政治的調整に関わり民族誌資料を収集しつつある。石垣は台湾中央研究院、国立政治大学原住民族研究センターにて国立原住民族博物館建設に向けた動きの政府審議をはじめブヌン社会の民族文化と言語教育について調査をすすめている。池田は上記の活動のほかに、韓国文化人類学会において、アイヌならびに琉球の遺骨返還請求運動に関する研究発表をおこなった。年度末には、遠隔会議を実施し年度内活動の報告会ならびに、先住民学カリキュラム構想にむけて情報交換をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終年度で予定していた成果報告を兼ねた国際学会報告を1年前倒しで実施することができた。また研究班の加藤、山崎、丹菊、そして辻が関わる北海道大学アイヌ先住民研究センターでは、大学院文学院にアイヌ・先住民学講座が設置され、修士・博士課程からなるアイヌ・先住民学専修が開設され、それらの運用に関する学問的基礎づけに関する資料を蓄積しつつある。研究班の他のメンバーも、それらの教育等の貢献に参加できる人材育成に関与できる可能性がある。令和2(2020)年4月に開館予定であった国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園・慰霊施設からなる「ウポポイ」の開館が延期されているが、研究計画には大きな影響を与えていない。遺骨返還運動に関しても、さまざまな課題は残されているものの、引き続き観察を継続するが「アクションリサーチ」など、一定の和解への協働の方向性や研究者自身による寄与の可能性が令和元(2019)年度中の研究で見えてきた。国内外の運動との比較をしつつ、今尚未解決な「先住民」との文化的摩擦に関する現場に赴き、対話の促進を手助けできる先住民学教育の可能性に対して一定の貢献をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度令和2(2020)年度は、この研究班のそれぞれの研究分野における、先住民(先住民族)を対象とする現在の研究倫理要綱の情報を入手し、先住民を研究対象とする調査研究の際に、どのような新たな課題が生まれるのか、また、グローバルな比較研究の中で、より一般性を持たせるためにはどのような観点の導入が必要なのかを、全員で検討する。また、その成果を踏まえて、前年度から着手している、先住民学のシラバス構成について、アイヌ・先住民学専修を参照にしつつ、個別の授業科目のモデル・シラバスを各人、1あるいは2科目つくり、それらを総合した先住民学入門の確立と定着をめざす提言をして、研究の区切りをつける計画である。
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Causes of Carryover |
使途のなかった分担者の石垣は海外へのサバティカル休暇のために配分金をそのまま最終年度に繰越をすることを認めた。同じく使途のなかった關は当該年度、別財源で本研究課題に関する国際シンポジウム出席、英文による論文執筆、編集、公刊し、十分な成果をあげた。山崎は国際学会の出張を別財源で確保したために、本研究課題に十分な成果発表をおこなった。辻と瀬口は、それぞれ国内と国外において傷病と遭遇したために、年度途中で執行が滞ったためである。すべての研究者に令和2年度は最終年度である旨を周知させているために。滞りなく研究の遂行と予算執行を行うように督促をかけている。
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Remarks |
https://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/ のサイト内検索で「先住民」と「グローバル」の検索語で約230件の結果が出ます。
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Research Products
(52 results)