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2020 Fiscal Year Research-status Report

始原的オラリティ研究:においを用いた新生児主体の「共在感・ケア情動発現」の解明

Research Project

Project/Area Number 18KT0033
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

尾崎 まみこ  奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (00314302)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 針山 孝彦  浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特命研究教授 (30165039)
永田 仁史  岩手大学, 理工学部, 教授 (40301030)
綾部 早穂  筑波大学, 人間系, 教授 (40323232)
金山 尚裕  浜松医科大学, 医学部, 副学長 (70204550) [Withdrawn]
小早川 達  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (70357010)
大坪 庸介  神戸大学, 人文学研究科, 教授 (80322775)
Project Period (FY) 2018-07-18 – 2022-03-31
Keywords新生児 / 匂い / 感覚評価 / 化学分析
Outline of Annual Research Achievements

「赤ちゃんの匂いはいい匂い」とは、経験的によくいわれてきたが、これまで科学的に証明されたことはなかった。私たちは生後、数時間から数日の20名の新生児の頭部からストレスフリーで非侵襲な方法で採集し、そのうち19名の匂いを個別に分析した。19名のうち16名の匂いは相互によく似た成分構成を示し、残りの4名の匂いは、1,2の成分の含有量が他と異なっていた。この結果から、新生児の頭部の匂いには、“標準的な”化学成分構成が存在することが示唆された。
化学分析結果をもとに、含有量の上位を占める20成分を使って19名の匂いを再現する調香品をそれぞれ作成した。それらの調香品の匂いについて、20名の学生(男女10名ずつ)から、匂いに関連する50のタームへの当てはまり度を回答する心理学的感覚評価の結果を得た。この回答のスコアに対する因子分析を行うため、スクリープロットから妥当と考えられる3因子解を求めた。得られた第1、第2、第3因子は、それぞれ、「快い情動を引き起こす匂い」に関与する因子、「快い質の匂い」に関与する因子、「不快な情動を引き起こす匂い」に関与する因子であり、寄与率は順に0.32、0.13、0.11であった。ちなみに「不快な質の匂い」に関係の深い13タームはいずれも極めて低いスコアしか獲得していなかったので、あらかじめ因子分析の対象から除外した。
このように、本研究から、化学―心理学的な根拠を示すことにより、「赤ちゃんの匂いは快い情動を引き起こす匂いである」ことを、世界で初めて証明することができた。最後に、学生による調香品の匂いの評価と父母などによる本物の赤ちゃんの匂いの評価を同じ感覚評価テストで比較したところ、およそ矛盾の無い結果が得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

実際、ヒトを対象とする研究は、新型コロナウィルス感染症の流行によって、ほとんど進められない状況に陥った。協力者を一堂に集めての心理テスト実験は、人数を減らし、距離を取って、換気をしながら、慎重に実施した。換気によって匂いが飛んでしまうなどのアクシデントがありつつも、概要に記載した研究の進展がみられた。心理テスト結果の解析に因子分析を取りいれたことが、今回の研究の最大の成果ともいえる「新生児の頭の匂いが快い情動を引き起こす匂いである」との結論をはっきりと導くことができた大きな要因となった。
とはいえ、当初計画していた生理学的実験は、これもヒトを対象とする実験であるために、新型コロナウィルス感染症流行の影響を受けてやむを得ずまだ開始することができないでいる。このため、自己点検区分としてはやや遅れていると評価せざるを得ない。

Strategy for Future Research Activity

今後、化学-心理学的な研究結果を生理学的データによって裏付けるために以下の2通りの実験を計画している。
1)fMRIを用いて赤ちゃんの頭の匂いの標準的な化学構成をもつ調香品をかがせた時に活性化する脳領域を特定し活性を測定する
2)オキシトシンとコルチゾルの抗体を用いたELISA定量法を用いて、赤ちゃんの頭の匂いの標準的な化学構成をもつ調香品をかがせた時に採取した唾液中に”幸せホルモン“といわれるオキシトシンと”ストレスホルモン“といわれるコルチゾルの量がどのように変動するかを調べる。

Causes of Carryover

新型コロナウィルス感染症流行のため、当初予定していた計画が完了しなかったため、次年度使用額が生じた。雇用費および実験に必要な機器の保守・修理に使用する計画である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 出生直後の赤ちゃんの頭の匂いのはたらきを探る:感覚評価と心理効果2021

    • Author(s)
      米谷充史,上尾達也,柳瀬詩穂子,針山孝彦,鈴木一有,金山尚裕,大坪庸介,永田仁史,尾崎まみこ
    • Organizer
      日本味と匂学会
  • [Presentation] 新生児の頭部の匂いの個別化学分析:標準的な匂いと個性的な匂いの存在2021

    • Author(s)
      上尾達也,柳瀬詩穂子,針山孝彦,永田仁史,鈴木一有,金山尚裕,米谷充史,大坪庸介,綾部早穂,尾崎まみこ
    • Organizer
      日本味と匂学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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