2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19002014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 伸弥 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (10295694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 誠人 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (10379539)
高橋 和利 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (80432326)
小柳 三千代 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 産学官連携研究員 (90432327)
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞 / 分化多能性 / 核初期化 / 転写因子 |
Research Abstract |
平成19年度の研究で初代培養肝細胞に由来するiPS細胞は、線維芽細胞由来のiPS細胞と比較してレトロウイルスの挿入数が少なく、クローン間に共通する挿入場所はなく、さらにキメラマウスやその子孫に腫瘍が多発しないことがわかった。一方、線維芽細胞からのiPS細胞誘導には、レトロウイルスが特定の場所に挿入されることが必須であることが示唆されており、20年度は線維芽細胞由来iPS細胞におけるレトロウイルス挿入部位の決定を行い、共通挿入部位の探索を行った。 また19年度においてレトロウイルスによる誘導ではc-Mycは必須でないことを確認し、他の3因子をゲノムに組み込まれないアデノウイルスで導入しiPS細胞を誘導可能か検討した。この際線維芽細胞に加えて肝細胞等の上皮細胞を用いた。予備的実験でアデノウイルスの1回投与ではiPS細胞は樹立されないことがわかっているので、連続投与など、導入方法の最適化をはかった。1因子をアデノウイルスで投与する事でiPS細胞を樹立する事に成功したが、全ての因子をアデノウイルスで投与してiPS細胞を樹立する事はできなかった。 ウイルスを用いずに因子を導入する為にプラスミドを用いiPS細胞の誘導を行なった。一つのプラスミドに3因子を挿入する事で同じ細胞に3因子が発現する工夫を行なった。マウス胎仔線維芽細胞に市販の遺伝子導入試薬で3因子をトランスフェクションしたところiPS細胞を樹立する事に成功した。詳細な解析の結果、このプラスミドiPS細胞の染色体中に外来遺伝子が入っていない事を確認した。このプラスミドiPS細胞はES細胞やレトロウイルスで樹立したiPS細胞と同様の形態、遺伝子発現パターンを示した。また、キメラマウスを作製する事もでき、さらには生殖系列への伝承も確認できた。レトロウイルスを用いた場合染色体にウイルス由来の遺伝子が挿入されて腫瘍形成のリスクが考えられるが、今回樹立できたプラスミドiPS細胞はこの問題を解決したものと考えられ、非常に重要な結果である。また、ヒトiPS細胞に応用できた場合は今後の再生医療への展開において非常に大きな意義がある。
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Research Products
(91 results)