2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19002014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 伸弥 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (10295694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 誠人 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (10379539)
高橋 和利 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点講師 (80432326)
沖田 圭介 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点講師 (90512434)
吉田 善紀 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点講師 (20447965)
青井 貴之 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (00546997)
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞 / 分化多能性 / 核初期化 / 転写因子 |
Research Abstract |
平成20年度までに線維芽細胞由来iPS細胞におけるレトロウイルス挿入部位の決定を行いiPS細胞誘導にレトロウイルスの挿入は重要ではないことを確認した。また、レトロウイルスによる誘導ではc-Mycは必須でないことを見いだし、キメラマウスにおける腫瘍形成リスクの低減化に成功した。さらに安全性の高いiPS細胞樹立のためにプラスミドを用いてiPS細胞の誘導を行った。マウス胎仔線維芽細胞に市販の遺伝子導入試薬で3因子と別のプラスミドでc-Mycをトランスフェクションしたところ、iPS細胞を樹立する事に成功した。詳細な解析の結果、このプラスミドiPS細胞の染色体中に外来遺伝子が入っていない事を確認した。このプラスミドiPS細胞はES細胞やレトロウイルスで樹立したiPS細胞と同様の形態、遺伝子発現パターンを示した。また、キメラマウスを作製する事もでき、さらには生殖系列への伝承も確認できた。レトロウイルスを用いた場合、染色体にウイルス由来の遺伝子が挿入されて腫瘍形成のリスクが考えられるが、今回樹立できたプラスミドiPS細胞はこの問題を解決したものと考えられ、非常に重要な結果である。 平成21年度はiPS細胞の安全性の評価系の確立を行った。マウスiPS細胞を神経幹細胞に分化誘導しマウス脳内へ移植し腫瘍が形成されるか検討した。この結果、iPS細胞を樹立する際に用いる元細胞の種類が重要であることを明らかにした。また、iPS細胞樹立の分子機構に関して癌抑制遺伝子p53が関与していることを明らかにした。さらに、低酸素状態でiPS細胞を樹立すると効率が上昇することを突き止めた。今後は分子メカニズムの解明も進めていく。また、プラスミドを用いた樹立方法をヒトiPS細胞に応用できた場合は、今後の再生医療への展開において非常に大きな意義があると考えられ、ヒト-プラスミドiPS細胞の樹立に向け研究を進める。
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Research Products
(82 results)