2007 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的細胞脂質解析を目指した生体触媒モジュールの開発
Project/Area Number |
19021027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 順 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (70281102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻谷 英治 京都大学, 農学研究科, 助教 (10362427)
日比 慎 京都大学, 農学研究科, 助教 (30432347)
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Keywords | 脂質 / P450 / ペルオキシダーゼ / リパーゼ / 脂肪酸 / 変異型酵素 / 過酸化水素 / NADPH |
Research Abstract |
脂質・脂肪酸分子種の網羅的解析技術の開発は、その生命活動における重要性にも関わらず、他の分子種に比べ遅れている。将来的に、細胞非侵襲的かつ連続的な時系列での分析を可能とするためには、新たな手法の開発が必要である。生体触媒モジュール(酵素)を用いる分析法は、その基盤技術になると考える。本研究では、脂質・脂肪酸分子種の酵素分析法として、1)脂質クラス特異的脂肪酸遊離酵素(リパーゼ、ホスホリパーゼ、グリコリパーゼ、セラミダーゼ等)による遊離脂肪酸の生成、2)遊離脂肪酸のシトクロームP450による分子種分別、3)シトクロームP450反応生成物(過酸化物)のペルオキシダーゼ反応によるモニタリング、の3ステップにより構成される系の構築を試みた。 本年度は、本分析系においてセンシングの要となるシトクロームP450の開発を行った。具体的には、脂肪酸水酸化酵素であるBacillus megaterium由来シトクロームP450 BM-3に関して、脂肪酸選択性に影響を与えるアミノ酸残基を選抜し、8種類の変異型酵素を設計した。また、これらの変異型酵素についてN末にHis-tagを付与し、大腸菌における高発現系、ならびに簡易精製法を確立した。さらに、得られた変異型酵素ならびに野生型酵素につき、各種脂肪酸存在下でのNADPH消費速度を比較検討した。その結果、変異型酵素において、不飽和脂肪酸に対する基質特異性が変化していることを確認した。また、過酸化水素(活性酸素)消去系の存在下にてNADPH消費速度の変化を認め、過酸化水素の発生が予想された。そこで、様々な変異型酵素・基質の組み合わせについて、ペルオキシダーゼとのカップリングによる脂肪酸の検出を試み、脂肪酸鎖長や不飽和度の違いがどのようにモニターされるかを観察した。その結果、変異型酵素群が、明瞭な差異ではないものの、脂肪酸分子種を識別しうることを確認した。
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Research Products
(2 results)