2007 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ひずみ履歴が微細組織の形成と力学特性に与える影響の原子構造論的検討
Project/Area Number |
19025006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 龍介 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80363414)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / 分子動力学 / 金属物性 / 超微細粒材料 / 粒界特性 / 破壊 / 水素脆化 |
Research Abstract |
金属材料に巨大ひずみを付加することで極めて微細な粒径を持つ材料を創成することができる.このようにして作成された材料は,粒径が小さいだけではなく,粒界特性そのものも異なることから通常の材料とは全く異なる特性を示す.これまでに,超微細粒材料の変形挙動に関する研究は実験や原子モデルを用いたシミュレーションによって精力的に行われているが,破壊に関する研究報告は相対的に少なく,結晶粒の微細化が破壊挙動に及ぼす影響は十分に明らかにされていない.本年度は,〔1〕超微細粒材料の破壊挙動に関する基礎的知見を得る目的でナノ多結晶体中のき裂進展挙動について検討した.また,〔2〕従来の高降伏応力を持つ鋼材はことごとく水素脆化を生じて容易に破壊することが知られていることから,超微細粒材料の破壊に及ぼす水素の影響を明らかにすることを目的として,粒界と水素の相互作用の原子シミュレーション解析を行った. 〔1〕ボロノイ分割法で作成した粒径が異なる材料中のき裂進展挙動の変形速度依存性を,ハイブリッドポテンシャルを用いた分子動力学シミュレーションによって解析した.ここでは,簡単のためき裂先端から転位が射出されない方位を選択している.結果として,プロセスゾーンの形状が変形速度によって大きく変化し,き裂進展挙動の粒径依存性がそれに強く影響されることを明らかにした.〔2〕異なる方位差を有する粒界への水素トラップ量と,そのまわりの水素拡散速度を原子シミュレーションにより評価し,粒界エネルギーが高い粒界ほどより多くの水素をトラップすること,水素の拡散速度がより遅くなることを明らかにした.
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Research Products
(5 results)