2008 Fiscal Year Annual Research Report
構造変化感受性蛍光タンパク質を用いたTrk受容体リン酸化のライブイメージング
Project/Area Number |
19037001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷 知己 Hokkaido University, 電子科学研究所, 准教授 (80332378)
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Keywords | ライブイメージング / 蛍光顕微鏡 / 蛍光タンパク質 / 神経栄養因子 / チロシンキナーゼ型受容体 |
Research Abstract |
膜タンパク質TrkAは広く神経細胞に発現し、代表的な神経栄養因子である神経成長因子NGFの受容体として、脳神経発生の制御に不可欠のタンパク質である。NGFの結合に伴うこのタンパク質の活性化を可視化する目的で、構造変化依存的に蛍光強度を変化する円順列変異蛍光タンパク質を、構造解析から予想されるTrkA受容体の活性化依存的な構造変化部位5カ所に挿入した変異遺伝子を作成し、この遺伝子を発現させたHeLa細胞およびPC12細胞を蛍光顕微鏡で観察した。作成した遺伝子のうち、HeLa細胞膜に発現したものは、受容体C末端近傍のkpnI切断部位とC末端に蛍光タンパク質を導入したもののみであったので、これらの部位にさまざまな蛍光タンパク質変異体遺伝子を導入した遺伝子を構築し、これらの遺伝子を発現したHeLa細胞およびPC12細胞に蛍光標識NGFを投与し、細胞表面へのNGF結合量と強制発現したTrkA-GFPの発現量との相関を調べた。不思議なことに、NGF結合とTrkA-GFPの発現量の相関は、HeLa細胞とPC12細胞で得られた結果が異なり、TrkA-GFPの発現量に対して結合したNGF量をプロットした回帰直線の傾きは、PC12細胞で得られたものが、HeLa細胞で得られたもののおよそ10倍となった。このことは、HeLa細胞で発現したTrkA-GFPは、NGF結合能が低下している事を示している。PC12細胞に2nMのNGFを投与して、発現させたTrkA-GFPの蛍光強度を経時的に計測した結果、NGF投与からの時間に従い、蛍光強度が低下する現象を発見した。この蛍光強度の時間変化を1次の指数関数でフィットすると、その時定数は172sとなった。この値は、後根節神経細胞成長円錐におけるNGF取り込みの1分子観察から推定された、TrkA活性化の時間経過とよく一致した。
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Research Products
(6 results)