2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチドにおけるテトラピロール生合成とオルガネラ機能のポストゲノム解析
Project/Area Number |
19039018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 孝之 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 勝幸 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50293915)
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Keywords | プラスチド / プラスチドゲノム / DNA複製 / 葉緑体 |
Research Abstract |
植物細胞は、組織や環境に応じて、プラズチドの機能発現が高度に制御されている。DNAをもつプラスチドの機能制御には、核とプラスチドの協調的な遺伝子発現制御が重要である。本研究では、ヘム・ビリンの代謝異常がフィトクロム変異表現型以外にプラスチドシグナル異常を示すことに注目し、これらの系統のテトラピロールとプラスチド機能制御について解析した。また、陸上植物の進化の鍵となる苔類ゼニゴケに注目し、葉緑体ゲノム複製や維持に関してオルガネラ研究の新たな展開を探った。hy1やhy2などのビリン生合成変異は、フィトクロム機能欠損となるが、CAB遺伝子の発現を指標にみるとgun表現型として知られる機能が見える。フィトクロム発色団として機能しないフィコエリトロビリンの合成酵素の発現により代謝を撹乱した系統においてCAB発現を解析した。この系統は、胚軸伸長に加えて、gun表現型も保持していた。これはヘムプールの蓄積によるフィードバックによってテトラピロール代謝が制御されるためビリン生合成変異はgun表現型を示すという説明、すなわち、ヘムブランチの効果は間接的であるという従来の説明に矛盾する結果であった。ゼニゴケの実験系では、プラスチドDNA上の複製に関連する領域を特定するために、二次元電気泳動を用いた構造解析を行った。プラスチドDNAには、恒常的に機能する複製開始点は存在しない可能性と、複製フォーク障壁として機能する構造がゲノム存在することがわかった。また、ゼニゴケプラスチド形質転換により、雌雄のプラスチド形質転換系統を準備し、野生型と交配した。導入遺伝子による薬剤耐性を指標としてゼニゴケの母性遺伝が明確に示された。プラスチドDNAを定量したところ、精子形成時期にコピー数が著しく減少し、精子では数コピーのDNAが検出されるに過ぎなかった。これは、精子のプラスチドDNA含量の低さが母性遺伝の要因であることを示している。
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Research Products
(4 results)