2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19045027
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
野口 光一 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (10212127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戴 毅 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20330441)
|
Keywords | 疼痛 / 後根神経節 / TRPA1 / シグナル伝達 / パッチクランプ |
Research Abstract |
本研究の目的は、炎症性メディエーターであるBradykinin, NGF, ATP, Tryptaseなどによる、TRPA1のチャネル活性を調節する細胞内メカニズムを解明し、TRPA1のモーダルシフトのメカニズムを解明することである。今年度は、bradykininによるTRPA1の調節機構について詳細に検討した。 ラットDRGニューロンにおいて、Bradykinin受容体をもつ細胞の大半はTRPA1陽性であることを示した。強制発現系HEK細胞とDRGニューロンにおいて、Bradykinin投与はAITC-induced TRPA1電流を増大させた。PLCおよびPKAのinhibitorはこの増大効果をブロックした。またPLCやPKAのactivatorを投与すると、Bradykininと同様の増大効果が観察された。ラット初代培養DRGニューロンにおいて、Bradykinin投与による細胞内cAMPの上昇をEIA法で確認した。occlusion実験により、PLCとPKAのシグナルは別々の経路でTRPA1チャンネルの機能を調節することが明らかになった。Bradykininの事前投与はAITCで引き起こされた疼痛行動を有意に増強した。この増強効果は1時間継続した。細胞で観察されたBradykininとTRPA1の相互関係が生体レベルにおいても証明された。 本研究により、BradykininによるTRPA1チャンネルの機能調節の分子メカニズムが解明された。また、従来はBradykinin受容体の下流でPLCの系が主に働くと認識されてきたが、本研究よりBradykininによるcAMP-PKAシグナルを介した、感覚神経細胞機能の調節機構が明らかとなった。このような炎症性疼痛過敏発症における新規メカニズムは、炎症性疼痛治療の新薬開発のシーズとなることが期待される。以上の結果は、神経学の英文誌Brainに発表した。 今年度は、別のシグナル伝達系の関与について、詳細に検討する予定である。
|
Research Products
(18 results)