2011 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀毒性の発現とその調節に関わる細胞内機構の解明
Project/Area Number |
19101003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80155952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 基旭 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (00344680)
高橋 勉 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (00400474)
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Keywords | メチル水銀 / 毒性発現調節 / ユビキチン・プロテアソームシステム / 脱ユビキチン化酵素 / ピルビン酸 |
Research Abstract |
平成20年度にメチル水銀毒性に関わる酵母の脱ユビキチン化酵素を検索したが、本年度はヒトの脱ユビキチン化酵素の検索を行った。その結果、発現抑制によって細胞にメチル水銀高感受性を与える脱ユビキチン化酵素としてUSP15、USP45が、また逆にメチル水銀耐性を与える脱ユビキチン化酵素としてUSP30、USP35が同定された。USP45によって脱ユビキチン化される蛋白質の中でグルタミン合成酵素GLULの発現を抑制すると細胞がメチル水銀高感受性を示すことが判明し、GLUL阻害剤がメチル水銀毒性を顕著に増強させ、その効果がUSP45発現抑制細胞では減弱することも明らかとなった。また、無毒性濃度のグルタミン酸(GLULの基質)の培地への添加がメチル水銀毒性を増強させることも確認され、USP45がGLULの分解を抑制してグルタミン酸のグルタミンへの変換を促進させる(グルタミン酸濃度を低下させる)ことによってメチル水銀毒性を軽減している可能性が示唆された。一方、我々は酵母のピルビン酸合成関連蛋白質の一部がメチル水銀毒性増強作用を有し、ユビキチン・プロテアソームシステムによって分解されることを見出しているが、ヒト細胞での検討の結果、メチル水銀がピルビン酸のミトコンドリアへの取り込みを促進させることが確認された。また、ピルビン酸がメチル水銀によるミトコンドリア障害をおしなべて増強させ、この効果はミトコンドリア内でのピルビン酸代謝を促進させると低下し、逆に抑制すると増強されることが判明した。ミトコンドリア内に能動的取り込まれることが知られているピルビン酸エステルで単離ミトコンドリアを処理したところ、ミトコンドリア膜電位が有意に低下したことから(ピルビン酸は無影響)、ミトコンドリア内ピルビン酸濃度の上昇がミトコンドリアの機能に障害を与えるというこれまでにない新しい知見が示唆された。
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Research Products
(22 results)