2007 Fiscal Year Annual Research Report
安定/準安定ナノ空間を制御した超耐熱・高速バルク反応場の創生と応用
Project/Area Number |
19106014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 伸也 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (90029299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 孝久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80267640)
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Keywords | 希土類酸化物 / セリア / ナノ空間 / 蛍石類似構造 / 準安定相 / 排ガス触媒 / メタン改質 |
Research Abstract |
本研究の究極の目的は、超耐熱性を有しながら低温特性にも優れ、かつ貴金属系触媒を必要としない高性能反応場を作製することであり、展開する学問は触媒単味の研究ではなく、複合酸化物(セラミックス)の相安定性と物理化学的性質に関する基礎的研究とその応用である。平成19年度は、xPrO_z-(1-x)ZrO_2系のx=0.75近傍で筆者らが見出したCaF_2類似の新規相について確認実験を行った。この知見を元に、0.75{(1-x)PrO_z-xCeO_z}-0.25ZrO_2の三元系においてPrO_z/CeO_z組成比を種々に変えて試料合成を行い、O_2ガスおよびH_2ガス中での焼鈍下での相安定性について調べた。酸化・還元の両雰囲気でPrO_z側にω相、CeO_z側にC相のともにCaF_2類似構造の固溶体が広がっていた。このため0.75{(1-x)PrO_z-xCeO_z}-0.25ZrO_23元系粉末の酸素放出はPrO_z側とCeO_z側で大きく異なった。これらの粉末に混合したカーボン粉末はCeO_2側でよく燃焼した。そこでCeO_2側に研究を絞り、0.75CeO_2-0.25ZrO_2組成の粉末に種々の遷移元素および貴金属元素を添加して酸化還元に伴う相変化を調べた。酸化に伴いZrO_2側に存在するt相が生成する傾向にあり、還元するとパイロクロア類似構造とC相類似のCaF_2構造の混合状態が得られた。X線回折からパイロクロア類似構造への酸素の溶解・離脱が認められた。酸素の放出吸収(OSC)は150℃と低い温度でも観測された。酸素が速やかに移動するパイロクロア構造と酸素を豊富に含有するCaF_2構造のナノレベルでの微細混合状態・準安定ナノ空間の出現により良好なOSC特性が得られたと結論された。1200℃と高温を経験してもその後の還元酸化によりナノ空間が出現するためOSC性能は低下しなかった。メタンの水蒸気改質に関する触媒作用も確認された。
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