2009 Fiscal Year Annual Research Report
安定/準安定ナノ空間を制御した超耐熱・高速バルク反応場の創生と応用
Project/Area Number |
19106014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 伸也 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (90029299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 孝久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80267640)
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Keywords | 希土類酸化物 / セリア / ナナ空間 / 蛍石類似構造 / 準安定相 / 排ガス触媒 / メタン改質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、安定・準安定状態が母相内にナノスケールで混合した酸素授受能力に優れたナノ空間を創生し、超耐熱性とともに低温でも作動する高性能反応場を実際に作製すること、さらにはエネルギー製造・保存の分野へと展開して有用性を示すことである。本年度はCeO_2-ZrO_2の2元系酸化物をベースにPr_nO_<2n-2>および微量のFe, Ni, Mn, Cu, およびPdなどの貴金属を添加した試料粉末について、1100~1200℃の空気中で焼鈍し、水素還元、その後500~700℃の低温で酸化処理を行い、各試料の相の状態をX線回折とラマン分光で調べ、試料の酸素吸収量(OSC)、およびメタン水蒸気改質反応における触媒挙動についてより詳細に調べた。状態図上で存在しない相あるいは存在してもその中に酸素が過飽和に入っている相である準安定相には少なくとも3種類存在することが分かってきた。Zr-Ce-Pr-O系酸化物では母相表面に付着した金属、金属酸化物により誘起された酸素欠損と陽イオンの規則配置が母相内部まで広がりやすい性質を有した。添加元素が陽イオンとして溶解して2価、3価をとるときパイロクロア類似相が出現してOSCは大きくなった。さらに、添加元素が溶解しないときに2種類の蛍石類似相が混在して酸素移動のパスが生じてOSCが大きくなる重要な現象を見出した。従来の認識を覆すものであり今後詳細に調べる必要がある。種々にCeO_2組成を変えたCeO_2-ZrO_2の2元系酸化物に触媒を担持してメタン水蒸気改質反応を調べた結果、メタン分解率には2つの極大を迎える組成があることが分かった。準安定相が出現するもう1つ別の新たなる機構の存在が示唆される。これらの準安定相が現れる3つの現象を利用して安定・準安定相がナノスケールで混合する状態を制御することにより種々の応用展開に結びつく高性能反応場を創生できることが明らかとなった。
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Research Products
(9 results)