2010 Fiscal Year Annual Research Report
安定/準安定ナノ空間を制御した超耐熱・高速バルク反応場の創生と応用
Project/Area Number |
19106014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 伸也 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90029299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 孝久 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80267640)
喜多 正雄 富山高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (00413758)
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Keywords | 希土類酸化物 / セリア / 混合相状態 / 蛍石類似構造 / 準安定相 / 排ガス触媒 / メタン水蒸気改質 / 酸素吸蔵能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、安定/準安定な2相の混合状態からなるナノ空間が酸素の授受能力に優れることを示し、超耐熱と低温作動の両特性を有する排ガス浄化、水素ガス製造などの環境エネルギー分野で有用な高性能反応場を作製することである。2相混合状態の特性を評価するため、単相領域となる{Zr_<2/8>Ce_<6/8>}O_<2-y>組成試料およびCaF_2類似な2相混合状態となるようにさらにPrを加えた組成試料に微量のFe, Ni, Cu, Mn,加えてPdを添加して1100~1200℃の空気中で焼鈍、さらに水素還元、その後の低温酸化処理の各段階で出現する相とPrの有無、添加元素の影響、および酸素吸蔵量(OSC)特性への影響を調べた。低温での酸素吸蔵は全般的に2相混合状態試料のほうが良好であった。さらに粒表面に付着したPdなどの表面触媒特性が低温特性に大きな影響を及ぼすことも分かった。Prが存在することによりPdは2相混合界面に酸素の授受を介して強固に突き刺さり、界面の還元作用によりPd-母相金属固溶体が出現し、この還元効果はNiとPdなどの共添加によりさらに強まった。界面の還元作用はメタン水蒸気改質反応で重大な効果を発揮した。すなわち、種々のCe/Zrモル比率のCeO_2-ZrO_2系酸化物にPrを加えて水溶液加熱で析出させた酸化物粉末を600~1200℃の種々の温度で焼結した。次にNiOを含浸して酸素中での焼鈍後、および水素ガス中でNiへと還元後に、それぞれメタン水蒸気改質反応の触媒作用を評価した。Niまで還元すると如何なる条件下でも触媒作用を呈し、NiOではほとんどの条件下で反応は進まない。しかし組成と焼結温度を制御して酷似するCaF_2類似2相の結晶/整合性を高めると界面還元作用が強まり、酸化後のNiOでも良好な触媒効果が得られた。安定/準安定2相界面の特異で重要な本現象は白金類を使わない触媒開発への扉を開く重要な鍵となる。
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Research Products
(6 results)