2009 Fiscal Year Annual Research Report
包括的トランスクリプトーム解析による新たなゲノム医学,創薬研究
Project/Area Number |
19109001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻本 豪三 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (80172013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70242633)
木村 郁夫 京都大学, 薬学研究科, 助教 (80433689)
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Keywords | microRNA / 上皮細胞 / がん / 分化 |
Research Abstract |
研究背景と目的:上皮細胞がどのようなメカニズムに基づいて分化成熟し、極性・バリアー機能を有しているのかについてはほとんど明らかになっていない。近年、細胞の分化や機能及び腫瘍形成・悪性化等に決定的な役割を果たす機能性non-coding RNA、miRNA(miRNA)が発見され、上皮細胞の分化及び機能においてもmiRNAが重要な役割を担っている可能性が想定された。本年度は、上皮細胞の分化及び極性・バリアー機能を制御するmiRNAを同定した。研究結果:T84細胞株を用いた上皮細胞分化モデルを構築し、miRNAのバリアー機能をその本体であるTight Junction(TJ)のマーカーZ01、極性を側底膜のマーカー・1 integrinの免疫染色で評価した。その結果、分化誘導後5日目までにTJが形成され、さらに5日目から7日目にかけて極性が形成されることが示唆された。本モデルにおいてmiRNA(250種)の発現量変化を定量PCR法より調べた、4種のmiRNA(miR-210、338-3p、33a、451)の発現が極性形成期にかけて顕著に亢進した。これら4種のmiRNAが極性形成に関与するかどうかをそれぞれの相補配列を用いたmiRNAのノックダウン実験により検証し、miR-338-3pとmiR-451のノックダウンにより極性形成が阻害された。また、4種もしくはmiR-338-3pとmiR-451を組み合わせて遺伝子導入した際には5日目において極性が形成されていた。以上の結果から、miR-338-3pとmiR-451は上皮細胞の極性形成に協調的に寄与していることが示唆された。以上の成果は上皮細胞の分化・機能メカニズムの解明が腫瘍の形成や悪性化のメカニズムの解明に有用である。
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Research Products
(4 results)