Research Abstract |
本研究は,「樹状突起スパイン内アクチン結合蛋白の量的、質的動態」と「神経伝達物質受容体や足場蛋白のシナプス後部への集積」との双方向性の制御を分子レベルで解析し,アクチンによるシナプス機能制御のメカニズムを明らかにして,このメカニズムの破綻がもたらすシナプス機能不全及び高次脳機能障害を,遺伝子変換マウスを用いて解析することにより,当該メカニズムの高次脳機能における役割を明らかにすることを目的とする。 平成19年度は初代培養神経細胞を用いて,種々のアクチン結合蛋白の成長円錐およびシナプスへの局在を免疫組織化学的に明らかにした。ゲルゾリン,Arp3,プロフィリン,αアクチニン,βアクチン,ファッシン,ビンキュリン,SH3P7は成長円錐内に瀟漫性に存在していた。フィラミンとコータクチンは成長円錐の末端に分布していた。ダブルコーチンは成長円錐中心部とアクチン弓に存在していた。ニューラビンIIとミオシンIIはドレブリンEと同様に成長円錐のアクチン弓に濃縮していた。ドレブリンAは成長円錐では検出できなかった。一方,チュブリンやVAMP2などは成長円錐中心部に分布し,アクチン結合蛋白とは対照的な分布パターンを呈していた。シナプス部へは,ドレブリンAが局在していた。 ドレブリンアイソフォーム非変換マウス(DAKO)を用いて,高次脳機能解析および電気生理学的解析を行った。強制水泳テストでは有意差は認められなかった。嗅球除去処置によりマウスは徐々に活動量が増加するが,その増加量に野生型とDAKOでは有意差が認められた。 また,平成20年度以降の研究に備え,ドレブリン遺伝子のfloxマウスおよびスパイカー遺伝子のfloxマウスを作製した。
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