Research Abstract |
平成20年度は,効果的な介護予防プログラムの作成を目的とした運動介入研究を中心とし,さらに団塊世代,元気高齢者,特定高齢者および軽度介護認定者の4群における体力的特徴を再検討した.今年度,収集したデータ数は,団塊世代;197名,元気高齢者:616名,特定高齢者:227名,軽度要介護認定者:54名であった.これらの対象者データを分析した結果,得られた知見は以下の通りである。 1)身体機能評価指標を再検討したところ,性,年齢,運動器に関わる既往歴,身体の傷み,ファンクショナルリーチ,8回ステップテスト,5回椅子立ち上がり,タイムドアップアンドゴー,タンデムウォーキング,豆運び,老研式活動能力指標,日常生活動作セルフエフィカシーが選定された,2)長座位体前屈,長座位起立時間,開眼片足立ち,タンデムバランスの項目において,軽度要介護者の7割前後が遂行不可能であることが明らかとなった,3)選定された項目を身体機能改善のための重要項目と位置づけ,元気高齢者および特定高齢者向け運動プログラムを作成・適用したところ,ファンクショナルリーチおよび豆運び以外の体力測定5項目で有意な改善が得られた。 これらの結果を受け,平成21年度の課題を以下の通り設定した。1)身体機能評価指標の有用性を高めるために,簡単に身体機能を評価できる簡易評価指標と体力や活力,血液検査値などより総合的に身体機能を評価できる総合評価指標を作成する,2)団塊世代から軽度要介護認定者に対するより効果的な運動介入プログラムを提案する,3)介護予防を目標とした福祉コミュニティの形成のための方法を提案する。 本研究の最終目標は,身体機能評価指標による評価,運動プログラムによる介護予防活動の促進,そして地域に密着できる福祉コミュニティの形成である.上記の結果の通り,最終目標達成のためのデータ収集およびこれらのデータ検証を終えたことから,平成20年度の目的は達成できたといえる。
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