Research Abstract |
平成21年度の課題は,1)身体機能評価指標の有用性を高めるために,体力や活力,血液情報などに基づいて多角的に評価できる総合評価指標を作成する,2)団塊世代から軽度要介護認定者までに適用できる効果的な運動介入プログラムを提案する,3)介護予防を目的とした福祉コミュニティの形成のための方法を提案する,の3点であった.平成19年度より3年間で収集した実人数は,団塊世代:197名,元気高齢者:616名,特定高齢者:227名,軽度要介護認定者:54名(総計1,094名)であった.これら収集数とは別に,特定高齢者の1~3年後の追跡調査で1年後50名,2年後29名,3年後9名(総計88名)についての同様のデータを収集した.得られた知見は以下の通りである. 1)団塊世代から特定高齢者までに活用できる身体機能評価指標について,質問紙項目の精査などを含め分析したところ,質問項目として,5歳刻みの年齢グループ,運動器に関連する既往歴,身体痛,30分以上の運動実践,階段昇降の困難感,老研式活動能力指標,手段的日常生活動作(Instrumental Activity of Daily Living ; IADL)の8項目,体力項目として,握力,ファンクショナルリーチ,タイムドアップアンドゴー,豆運び,5回チェアスタンドの5項目が選択された,2)元気局齢者,特定高齢者および軽度要介護認定者のための運動プログラムを3種類作成した,3)長期にわたりコミュニティにて活動している運動指導ボランティアの育成,フォローアップ研修についての調査,およびボランティアグループに対してグループインタビューをそれぞれ3つのコミュニティにおいて実施したところ,運動指導ボランティアによる運動教室の在り方や意義について改善を加える必要のあることが明らかとなった. 以上より,今年度の課題は達成したと考える.今後は,これらの結果を踏まえ,要介護化予防事業をさらに発展させるために,実践的な検証を推し進めていきたい.
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