2007 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱化した図書・文書資料の非破壊劣化度評価と新規強化処理法の開発
Project/Area Number |
19200056
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
園田 直子 National Museum of Ethnology, 文化資源研究センター, 教授 (50236155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 隆之 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70134799)
大谷 肇 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (50176921)
増田 勝彦 昭和女子大学, 大学院・生活機構研究科, 教授 (40099924)
青木 睦 国文学研究資料館, アーカイブズ研究系, 准教授 (00260000)
近藤 正子 (金山 正子) 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (20311491)
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Keywords | 酸性紙 / 劣化度評価 / ローリングテスト / 物性試験 / 熱分解分析法 / 強化処理 / 脱酸性化 / 図書・文書資料 |
Research Abstract |
本年度は、紙資料の劣化度評価に関する研究を中心に行った。 脆弱化した図書・文書資料の劣化度を評価する手法として、資料にできる限り損傷を与えない劣化度評価法として独自に開発してきたローリングテストの実用化に向けた調査、実験に取り組んだ。ローリングテストでは、試験ページを、順次、径の異なる円柱に巻くことで、紙のしなやかさを判定する。そのため、図書館等で、従来劣化度を測る尺度として用いられているダブルフォールドテストに較べると、より広い面積を対象として劣化度を判定しており、紙の劣化度をより総合的に反映するだけでなく、紙への負担を最小限に抑えることができるのが特徴である。今年度は、個人差を極力生じさせずにローリングテストが行えるように、実施方法や条件を精査するとともに、テストで必要となる道具の標準キットを製作した。さらには試験紙を人工的に劣化させて同程度の劣化状態の紙を作成した上で、それらを複数の試験者によるローリングテストに供し、マニュアルと標準キットの評価を行った。 一方、自然に経年劣化した紙を対象とした実験も継続して行っている。19世紀から20世紀初頭の紙の試験資料約140点の劣化度を、ローリングテスト、官能評価、アコースティック・エミッションを含む各種物性試験、熱分解分析法で評価し、その結果をもとに各手法の相関を検証している。閲覧に供するには何らかの強化処理が必要となるもの、劣化抑制のため脱酸性化処理の有力候補となるもの、これらの資料群をローリングテストの結果から分類するにあたっては、来年度以降、さらなる検証を進めていく。
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Research Products
(12 results)