2007 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質過敏症患者の日常生活における化学物質曝露と健康影響に関する研究
Project/Area Number |
19201007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 幸雄 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30313042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 貢 北里大学, 薬学部, 教授 (70162302)
熊野 宏昭 東京大学, 医学部付属病院, 准教授 (90280875)
熊谷 一清 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (50361613)
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Keywords | 化学物質過敏症 / TVOC / 心拍変動 |
Research Abstract |
本研究は、化学物質過敏症患者の化学物質への曝露と症状を調査し、病態の把握や診断及び具体的な対応方策のための客観なデータを得ることを目的としている。当該年度は、日常生活下でのVOCへの曝露の経時的な測定に加えて、自覚症状や心拍変動の評価を行った。健常者7名と患者8名に対し、VOCモニタとHolterモニタを用いて、TVOC個人曝露濃度の測定と心拍変動の記録を24時間連続で行った。また、行動記録表へ行動と自覚症状の記入を依頼した。TVOCに関しては、5分間隔の濃度の平均値、最大値、最小値を求めた。また、変化量の指標として、最大値と最小値の差を求めた。心拍変動に関しては、RR間隔の時系列データを対象にwavelet解析を行い、HFとLF/HFの平均値を5分間隔で求めた。交絡因子となる活動時のデータを除去後、TVOCと心拍変動の指標の間のSpearmanの順位相関係数を調べたところ、健常者7名のうち6名においてHFとTVOC変化量の間に有意な負の相関が、4名においてLF/HFとTVOC変化量の間に有意な正の相関が確認された。一方、患者8名についてはHFとTVOC変化量の間に有意な負の相関が4名、LF/HFとTVOC変化量の間に有意な正の相関が1名確認された。また、患者に関して症状出現時と通常時での比較(wilcoxonの検定)を行ったところ、5名はTVOC変化量が症状時に上昇し、そのうち1名は有意に上昇していた。HFは5名が症状時に減少し、そのうち3名は有意に減少した。以上の結果より、健常者と患者ともにTVOCと心拍変動が相関するケースがあり、自覚症状の出現にかかわらず、VOC曝露によるなんらかの影響があることが示唆された。また、症状自覚時にTVOC濃度と心拍変動の変化が確認されたため、本調査は、患者の病態を把握して診断や対策をするための有益な情報となると考えられた。
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Research Products
(1 results)