2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質過敏症患者の日常生活における化学物質曝露と健康影響に関する研究
Project/Area Number |
19201007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 幸雄 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30313042)
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Keywords | 化学物質過敏症 / TVOC / 心拍変動 |
Research Abstract |
化学物質過敏症患者の化学物質への曝露と症状を調査し、病態の把握や診断及び具体的な対応方策のための客観なデータを得ることを目的とした。健常者7名と患者8名に日常生活下でHolterモニタとVOCモニタを携帯してもらい、心拍変動とTVOC個人曝露濃度を24時間記録した。同時に行動・症状記録表に滞在した場所と活動の種類、自覚症状の種類の記入を依頼した。心拍変動はRR間隔の時系列データをwavelet解析して10秒間毎のHFとLF/HFの平均値を求め、5分間の平均値とした。TVOCは、20秒〜1分間毎の平均値、最大値、最小値を記録し、5分間隔の値とした。また、変化量の指標として最大値と最小値の差(△TVOC)、5分前からの濃度増加量と減少量を求めた。これらの指標について交絡因子となる活動時のデータを除去後、解析を行った。TVOCと心拍変動の指標の相関を確認したところ(Spearmanの順位相関係数)、TVOC濃度の変化量とHFの間に負の相関、LF/HFの間に正の相関が見られる例が多く、TVOC濃度の変化が、増加あるいは減少にかかわらず、引き続く自律神経活動と関連していることが示唆された。症状自覚時と通常時で比較すると、1名を除く全ての患者において、TVOC濃度または△TVOCが症状自覚時に高値を示したため、患者はTVOC濃度が高いか、変化量が大きいときに症状を自覚する可能性が示唆された。また、症状自覚時にHFが低下する被験者が多かった(8名中6名)。個々の患者のTVOC濃度と心拍変動の時系列データをみると、症状と心拍変動が良く関連しているようにみえる患者とそうでない患者がいたことから、本測定法によりVOCの曝露を避けたほうが良いのか、神経学的な治療を心がけたほうが良いのか等、それぞれの結果を基に症状への対応方策を提言することができると考えられた。
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Research Products
(2 results)