2008 Fiscal Year Annual Research Report
農業活動に由来するアンモニアの発生実態と生態系影響のインパクト解析
Project/Area Number |
19201008
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
寳示戸 雅之 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所草地多面的機能研究チーム, チーム長 (50355088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 隆介 北海道大学, 農学研究科, 教授 (40156344)
村野 健太郎 法政大学, 生命科学部環境応用科学科, 教授 (40109905)
林 健太郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 独立行政法人農業環境研究所・物質循環研究領域, 主任研究員 (70370294)
神山 和則 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 独立行政法人農業環境研究所・農業環境インベントリーセンター, 上席研究員 (50414503)
荻野 暁史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所浄化システム研究チーム, 主任研究員 (70355098)
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Keywords | アンモニア発生係数 / アンモニアフラックス / パッシブサンプラー / フィルターパック法 / 河畔林 / 余剰窒素 / 脱窒 / 家畜ふん尿 |
Research Abstract |
1.農業系発生量の実態解析 栃木県北部の畜産地帯において、前年度に作成した畜産農家GISデータ、土地利用データ等を用いて1kmメッシュ単位のアンモニア発生量算出のための活動量データを作成した。堆肥化以外のふん尿処理法についてアンモニア発生の国内外の文献を収集し、畜種、処理方式、気象等、条件別に整理した。施肥に伴うアンモニア発生の国内外の文献を収集し、肥料種別、施肥量、および土壌型等のメタデータを併せて整理した。これらのデータは今後のアンモニア発生係数の算定に有効なものである。堆肥および化学肥料の施肥に伴う畑からのアンモニア揮散調査をさらに2回実施し、営農水田におけるアンモニアフラックスの長期モニタリングを継続した。大気-水稲間のアンモニア交換について論文を発表した。 2.窒素沈着の実態解析 栃木県北部の畜産地帯の10ヵ所の観測地点において湿性沈着量、および大気中アンモニア濃度を観測した。送電線鉄塔にパッシブサンプラーを設置して大気中アンモニア濃度の鉛直分布の通年観測を行った。窒素沈着の広域分布を求めるために、パッシブ法で観測した国内27地点のアンモニア濃度から、インファレンシャル法を用いて乾性沈着量を推計した。最大値は千葉県の農地、次いで、北海道の森林であった。 3.窒素沈着のインパクト解析 草地から河畔域、河川への水の流動方向に沿った地下水管による硝酸態窒素濃度の挙動を追跡した結果、河畔林において硝酸態窒素濃度の上昇がある場合が認められた。濃度上昇後、河川に向かっては濃度減少し、河畔林内で脱窒や植物吸収などにより、窒素除去が行われたと考えられた。河畔林は窒素沈着に対して窒素負荷源となる場合、窒素除去源としての機能を発揮する二つの可能性が示唆された。 4.今後の展開 主要な発生源である家畜ふん尿処理との関係解析、地球温暖化への影響、東アジア域への展開等について検討する計画である。
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