Research Abstract |
今年度,LF/VLF帯電磁波を用いた広帯域デジタル干渉法による広域雷放電標定装置の製作を行った。 ファーストアンテナを用いて,前駆放電過程,帰還雷撃過程等に伴って放射されるインパルス性電界変化を記録し,GPSによる1PPS出力によってマイクロ秒程度の時刻同期する。そして,神戸北部,大阪大,貝塚の3地点観測で同時記録された波形に対して,各周波数毎の位相差を検出し,各地点からの距離差を算出して,2次元標定を行った。その結果,大阪平野を中心とする半径100km程度の圏内における雲放電も含めたトータルの雷活動をモニターすることに成功した。 一方,レーダ観測においてはネットワーク化を想定した降雨減衰補正アルゴリズムの開発を行った。本研究で用いる広帯域レーダはKu帯の周波数を用いているため,これまで気象用レーダで用いられてきたS帯,C帯,X帯に比して,降雨減衰が顕著である。この減衰を補償するためHitchfeld-Bordan解などが用いられてきた。本研究では,このような手法に対して,確率論的な手法に属するカルマンフィルタを用いることにより,より安定的に動作するKu帯での降雨減衰補正アルゴリズムを開発することに成功した。さらにネットワーク化を想定した2機以上のレーダによって,より精度の良いアルゴリズムを開発した。
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