2010 Fiscal Year Annual Research Report
精子幹細胞の遺伝子改変によるノックアウト動物の作製
Project/Area Number |
19201040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 隆司 京都大学, 医学研究科, 教授 (30322770)
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Keywords | 遺伝学 / 発生・分化 / 幹細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的はマウス以外の動物を用いて遺伝子ノックアウト動物を作製することである。我々はこれまでにglial cell line-derived neurotrophic factor(GDNF),basic fibroblast growth factor(bFGF)を用いることで、マウス、ラット、ハムスターなどの実験動物由来の精子幹細胞を試験管内で増殖誘導することに成功したが、その問題点はこれらの細胞の増殖が非常に遅いことである。本年度の研究で我々はラットオクルジン遺伝子の相同組み替えに成功した。遺伝子導入されたラット精子幹細胞をクローナルに増殖させて、polymerase chain reactionならびにサザンブロット法により相同組み替えの成功を確認した。しかしながら、この細胞は顕微授精により子孫を作製しようとしたが、遺伝子改変された子孫を得ることが出来なかった。一方で、遺伝子トラップベクターを導入されたラット精子幹細胞からは子孫を得ることができた。これらの結果から、現在のラット精子幹細胞の培養系はまだ完全なものではなく、今後、この細胞の自己複製を促進するようなサイトカインを同定する必要があることが明らかとなった。しかしながら、我々の相同組み替えの成功は今後の精子幹細胞を用いた遺伝子改変動物における重要な基盤となるものである。現在我々はラット精子幹細胞の培養系の改善に取り組みながら、並行してウサギおよびブタ精子幹細胞の培養を行っている。
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