2008 Fiscal Year Annual Research Report
五山版を中心とする中世刊本の研究-中世出版史の再構築に向けて-
Project/Area Number |
19202010
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
落合 博志 National Institute of Japanese Literature, 文学資源研究系, 准教授 (50224259)
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Keywords | 国文学 / 中国文学 / 中国哲学 / 仏教学 / 書誌学 / 日中文化交流 |
Research Abstract |
本研究の基礎となる五山版ほか中世刊本の原本調査を、前年度に引き続き実施した。前年度から継続の大東急記念文庫所蔵五山版の調査を終了したほか、京都市の瑞光寺及び勧修寺、香川県善通寺市の善通寺、京都府立総合資料館、名古屋市蓬左文庫等において中世刊本及び関連資料の調査を行い、それぞれ新発見の資料を含む研究上の収穫を得た。なお当初予定していた東洋文庫・お茶の水図書館成簣堂文庫所蔵の五山版調査、中国所在の五山版及び関連資料の調査は、都合により平成21年度に延期することとなった。 五山版序跋・刊記集成の作成については、上記の調査等を通して収集した写真を活用しつつ、順調に作業を進行した。 また研究会を以下の通り開催し、五山版に関する様々な問題について討議を行った。8月13日(水)於国文学研究資料館藤本幸夫「朝鮮の刻手に就いて」:朝鮮版に見られる刻手(刻工)について、記載法の特色や、刊年・刊地推定における有効性などを五山版の場合と比較しつつ考察した。 8月14日(木)於大東急記念文庫 落合博志「墨蹟と五山版-東福寺版『聖一国師語録』を例に-」:東福寺刊五山版『聖一国師語録』に模刻された無準師範尺牘2通のうち1通の原本が畠山記念館に現存することを指摘し、墨蹟資料としての五山版の序跋に注意すべきことを述べた。 3月4日(水)於大東急記念文庫 堀川貴司「大英図書館所蔵五山版について」:大英図書館所蔵五山版のうち『景徳伝灯録』3点を取り上げ、既刊の目録の記述の誤りを指摘するとともに、大東急記念文庫所蔵本とも比較しつつ伝本上の位置付けを行った。
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Research Products
(4 results)