2009 Fiscal Year Annual Research Report
五山版を中心とする中世刊本の研究―中世出版史の再構築に向けて―
Project/Area Number |
19202010
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
落合 博志 National Institute of Japanese Literature, 文学資源研究系, 准教授 (50224259)
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Keywords | 国文学 / 中国文学 / 中国哲学 / 仏教学 / 書誌学 / 日中交流 |
Research Abstract |
本研究の基礎となる五山版ほか中世刊本の原本調査を、引き続き実施した。京都大学人文科学研究所及び天理図書館についてはグループ調査を行い、前者では五山版を含む中世刊本の全部、後者では所蔵五山版約100点の三分の一以上の調査を終了した。そのほか京都大学附属図書館、叡山文庫、大谷大学博物館等において個別的な調査を行った。 従来の研究に洩れている五山版ほか中世刊本の所在についても、展示図録・地方誌などによって引き続き情報を収集した。それらは「五山版所在目録」等として蓄積を行っており、今後可能な限り原本調査をして行く予定である。 原本収集においては、これまで知られていなかった新出の五山版である永享人年栖雲菴刊『金剛般若波羅蜜経』を見出し、国文学研究資料館に収蔵したことが特記される。同書は扉絵を有する折本形態の経本で、恐らく中国(元末頃)刊本の覆刻かと推定されるものである。また美濃瑞龍寺版『碧巌録』と文明十三年刊薩摩版『聚分韻略』を購入したことにより、五山版の中でも特に版種の多い両書の伝本調査に際して、有益な比較資料を手許に置くことができた。いずれも、今後の研究の推進に寄与するものと期待される。 なお『金剛般若波羅蜜経』については、3月に開催した研究会において、落合博志がその概要と資料的意義等を紹介した。また同じ研究会で、村木敬子による、京都大学人文科学研究所・天理図書館・大谷大学博物館の調査を踏まえた五山版『十牛図』についての発表が行われた。 そのほか、五山版序跋・刊記集成の作業を順調に進行した。
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Research Products
(5 results)