2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代移行期の港市における奴隷・移住者・混血者-広域社会秩序と地域秩序
Project/Area Number |
19202019
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
弘末 雅士 Rikkyo University, 文学部, 教授 (40208872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 信昭 富山大学, 人文学部, 教授 (50206512)
貴堂 嘉之 一橋大学, 社会科学研究所, 准教授 (70262095)
清水 和裕 九州大学, 大学院・人文科学研究科, 准教授 (70274404)
高橋 秀樹 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80236306)
唐澤 達之 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (10295438)
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Keywords | 港市 / 環シナ海世界 / 環インド洋世界 / 地中海世界 / 環大西洋世界 / 環太平洋世界 / 奴隷 / 現地妻 |
Research Abstract |
本研究の目的は、世界の諸海域世界(環シナ海世界、環インド洋世界、環地中海世界、環大西洋世界、環太平洋世界)のつなぎ目となった港市において、外部世界と現地世界を仲介した奴隷・移住者・混血者が、近代移行期に広域社会秩序や地域秩序の形成にいかに関わったのか、比較研究することである。 2年目となる本年度、計3回の研究会を持ち、そのうち初回と第3回目の研究会は、港市に来航した人々と接触を持った奴隷や現地妻の役割について考察した。また第2回目の研究会では、港市が内陸地場世界の秩序形成にいかに関わるのか検討した。さらに環インド洋世界の港市を研究するため、9月3日〜7日に本科研メンバー9名がバンコクとアユタヤを訪問調査し、9月7日〜9月13日にメンバー5名が、西北インドのディウならびにムンバイ(ボンベイ)の訪問調査に参加した。また研究協力者が、8月にオランダ、イギリスにおいて東南アジア大陸部へのインド綿布取引を担ったマレー人に関する文献調査と、1月にジャワ島におけるイスラーム化に重要な役割を担った西アジア出身者やその子孫たちの聖墓を訪問調査した。 これらの活動から、イスラーム世界の拡大やヨーロッパ人の大航海時代の活動に、奴隷が重要な役割を担っていたこと、また奴隷を出した現地社会の多様な対応も明らかとなった。さらに奴隷は、主人の代理またその威信財となるなど、主人との強い関係が改めて明らかとなった。また現地妻の慣習は、近代移行期に環インド洋世界や環シナ海世界でしばしば登場し、外来者と現地社会とを結びつける重要な存在として比較研究する必要性が認識された。さらに「混血者」がなぜ問題となるのか、考察する必要性も改めて喚起された。
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Research Products
(24 results)