2008 Fiscal Year Annual Research Report
公共文化の胎動: 建国後の合衆国における植民地社会諸規範の継承と断絶に関する研究
Project/Area Number |
19202022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰生 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50194048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 志津代 上智大学, 文学部, 教授 (80181642)
中野 勝郎 法政大学, 法学部, 教授 (70212090)
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (70272408)
松原 宏之 横浜国立大学, 人間教育科学部, 准教授 (00334615)
平井 康大 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40251334)
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Keywords | 南北アメリカ史 / 公共文化 / キリスト教 / 共和主義 / 人種 / 国際研究者交流 / アメリカ / 太平洋地域 |
Research Abstract |
平成20年度はプロジェクトの2年次にあたり、海外の研究者を招聘したものを含め、計8回の研究会を開催し、研究分担者の研究関心を広げることに努めた。 まず08年5月10にパリ政治学院デニス・ラコルヌ教授の研究会「The Rise and Fall of American Secularism」を共催、同年3月11日に本科研が共催したイェール大学ジョン・バトラー教授の講演会「Religion in Modern America」と合わせ、現在のアメリカにおいて「公共」と「宗教」がいかほどの距離を保ちえているのか議論を交わした。その過程で欧米各国において国教の分離等によって担保される「公共」の意味には様々の違いがあり、今後は比較研究の視野に立って合衆国建国後の「公共」の意味を探る必要が明らかとなった。11月15日に愛知県立大学大野誠教授を招き開催した研究会「近代イギリス史と公共圏概念」では、家庭(オイコス)から分離した国家(ポリス)での活動だけでは満足ができなくなった近代西洋市民にとっての「公共」の意味を再び問い直したが、「公共」の語の地域横断的な定義は難しく、当面は、政治・宗教・人種等の分野でいかなる「公共」が模索されていたのか、個別事例研究を深める必要性を確認した。 一方、初期アメリカ史における「公共」に関しては、9月12日、18日にUC/Davis校のアラン・テイラー教授を招いた研究会を開催し、近代西洋政治思想の継承とは別に、植民地社会の人種混交の現場で醸成されたアメリカの公共概念を検討した。この研究会では、結論として欧米の彼我の差が強く確認された。また2009年1月27日ハーヴァード大学デイヴィッド・ホール教授を招き行った研究会では、印刷文化と公共概念との間の関係が、オーソドクシーが強力であったニューイングランド植民地社会などの場合、西洋近代とは別の形をとった可能性が指摘された。 これらの成果は東京大学アメリカ太平洋地域研究センター『ニューズレター』等でその詳細を報告した。研究分担者はその成果を次年度の研究に引き継ぐことになる。
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Research Products
(26 results)