2009 Fiscal Year Annual Research Report
公共文化の胎動:建国後の合衆国における植民地社会諸規範の継承と断絶に関する研究
Project/Area Number |
19202022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰生 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50194048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 志津代 上智大学, 文学部, 教授 (80181642)
佐々木 弘通 東北大学, 法学部, 教授 (70257161)
松原 宏之 横浜国立大学, 人間教育科学部, 教授 (00334615)
平井 康大 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40251334)
山田 史郎 同志社大学, 文学部, 教授 (30174717)
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Keywords | 市民宗教 / 国教 / ナショナリズム / 共和主義 / ハバマス / 対抗的公共 / 18世紀アメリカ / 印刷文化 |
Research Abstract |
2009年度の研究活動は、2009年~10年米国歴史学会(American Historical Association)会長でありハーヴァード大学教授であるローレル・T・ウルリック教授をお迎えして始まった。女性史と宗教史を交錯させた初期米国社会文化史を、マテリアル史料を駆使して切り開く教授の歴史観は、5月22日"Weil-Behaved Women Seldom Make History,"、23日"Mud and Fire : Mormon Diarists on the Iowa Prairie"に詳しく披瀝され、公共の政治空間と家族空間、市民概念と女性性などの問題が討議された。個人の活動を重きに置く市場経済への不安がポリガミーを基盤とする共同主義への傾斜を生んだ経緯を、モルモン教の日記を史料に詳しく検討した23日の報告は、公共の価値観とセクトの価値観が表層的には反発しつつ、深層で補強しあう逆説的な関係を示唆し、プロジェクトに新たな視角を提供した。 ウルリック教授が提示した宗教と公共の問題は秋以降の数次の研究会でいっそう深められることとなった。まず12月21日に南山大学宗教文化研究所の奥山明倫教授が報告「戦後アメリカ宗教と公共性」を行った。そこで、自国の価値観、主張をも相対化する力を有する超越的側面をアメリカの「市民宗教」が失いつつある現状に注意を促した。「公共」の概念は文字通り「公」と「共」に分かれ、その二つの公共に「私」のいかなる側面が対峙するかを考えることからアメリカ宗教の公共性の再考を氏は提唱した。2010年1月9日同志社大学肥後本芳男教授の報告「初期アメリカ共和国の印刷文化と公共性」は、対抗的な公共を生み出す媒体としての印刷文化の可能性を議論しつつ、ハバマスらの提唱した公共概念が米国建国史に適応可能か否かの問題を提唱した。この点は2010年1月22日、同じく同志社大学特任研究員藤本龍児が、アメリカにおける宗教と公共性の問題を報告で取り上げた際にも問題化した。ハバマスやアレントらの公共性の概念が広大の国土と民族的多様性を有する米国の公共性研究にどこまで有効か、最終年次への課題として残っている。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
高橋均
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Journal Title
世界の歴史18 ラテンアメリカ文明の興亡(中央公論新社)
Pages: 13-63,283-509,549-571
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