2008 Fiscal Year Annual Research Report
脱植民地化の双方向的歴史過程における「植民地責任」の研究
Project/Area Number |
19202023
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
永原 陽子 Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90172551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟谷 利江 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (00201905)
前川 一郎 創価大学, 文学部, 准教授 (10401431)
鈴木 茂 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10162950)
舩田クラーセン さやか 東京外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70376812)
吉澤 文寿 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (30440457)
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Keywords | 植民地責任 / 脱植民地化 / 奴隷貿易 / 人道に対する罪 / 戦争責任 |
Research Abstract |
本研究は、「植民地責任」概念を中心に据えて、西欧諸国の植民地であった地域の脱植民地化の歴史過程を植民地・宗主国の双方向的関係の中で比較史的に分析し、脱植民地化についての新しい理解を提示するとともに、歴史学における「植民地責任」研究の手法を開発し、その概念を確立することを目指している。第2年度である2008年度は、(1)植民地体制下の大規模暴力の実態の解明、(2)20世紀史の中での脱植民地化の諸局面についての構造的理解、を進めることを目的に、分担者・連携研究者による研究会を3回もち、モザンビーク、台湾、イギリス、ケニア、アメリカ合衆国の事例を検討した。「植民地責任」が問われるケースと問われないケースの比較を通じて、脱植民地化を従来のような政治史および経済史の関心からのみでなく、社会史的な側面や歴史認識をめぐる問題から、それぞれの主体の立場に即して重層的にとらえることの重要性が明らかになり、「植民地責任」概念を脱植民地化研究の新しい方法として用いることの有効性が示されつつある。12月にはこれまでの研究成果を広く研究者コミュニティや一般市民に共有してもらうことを目的に、公開ワークショップ「奴隷制・植民地主義の『罪』をめぐる体験・記憶・償い」を開催し、多くの参加者を得た。本科研(および前身科研)が提唱した「植民地責任」概念が、すでに広く研究者・市民の中で受け入れられつつあることが示された。さらに、これまでの研究成果のまとめとして、論文集『「植民地責任」論-脱植民地化の比較史』 (青木書店、2009年3月)を刊行した。
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Research Products
(33 results)