2010 Fiscal Year Annual Research Report
法曹養成教育における経験的方法論としての臨床法学教育の研究
Project/Area Number |
19203006
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮川 成雄 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30190739)
|
Keywords | 臨床法学教育 / 法曹論 / 法科大学院 / リーガル・クリニック / 司法修習 / 司法試験 / 医師養成 / ロースクール |
Research Abstract |
次の5つの研究項目を掲げて研究を実施した。 第1は、法科大学院での臨床法学教育の実施状況についての研究である。本年度は、法科大学院での模擬裁判科目の実施状況について、調査結果を『臨床法学セミナー』第8号として刊行した。全74校中、民事模擬裁判は60校(81%)、刑事模擬裁判は66校(89%)が実施しており、訴訟手続の全体像の把握だけでなく、法理論の理解に教育効果があることを実証した。 第2は、臨床法学教育と司法修習との関係である。これについては、『臨床法学セミナー』第9号を刊行し、シンポジウム「法科大学院の実務教育と司法修習-民事法領域を中心として-」の討議内容を公表した。また、司法修習の弁護修習について、アンケート調査を実施した。 第3は、諸外国の臨床法学教育の実施状況の検討である。4月24日と25日に中国と韓国から研究者を招聘し、シンポジウムを開催した。その成果は『臨床法学セミナー』第9号に掲載した。中国では公民代理制度を活用した活発な臨床法学教育が展開されていること、韓国では新たに設置された法学専門大学院で臨床法学教育が重要となっていること等が報告された。 第4は、他の専門職養成における臨床教育との比較である。これについては、今年度5月22日に医師養成と法曹養成の比較シンポジウム「動き出した法曹養成と医師養成の連携-臨床方法論による専門職教育の課題-」を開催した。その議論の中で、専門職業人の教育においては、早い段階から患者や依頼人と学生が直接接する機会の重要性が指摘され、国家試験受験前の段階で、臨床実習する学生の基本的知識・技能等を確認する方法等が議論された。 第5は、継続的法曹教育における臨床方法論の活用である。本年度は、精神的心理的プレッシャーにさらされた依頼者とのコミュニケーションをいかにとるかについて、司法修習の選択型実務修習プログラムを実施するための成案を作成することができた。
|
Research Products
(5 results)