2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
The Creation of Public Spheres and the Exploration of Normative Theories : based on empirical studies of contemporary social problems
Project/Area Number |
19203027
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Sociology
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
|
Project Period (FY) |
2007 – 2010
|
Keywords | 公共圏 / 規範理論 / 社会問題 / 熟議民主主義 / 現代社会 / 環境問題 / メディア / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、現代社会に生起しているさまざまな社会問題の実証的研究を通して、新しい公共圏の創成の可能性と規範理論を探究することである。本プロジェクトの特色を、現代社会の重要な社会問題群に対する実践的アプローチ、多様な問題領域に対する共有された理論的関心(公共圏論と規範理論)による統合的アプローチ、実証性と理論性との融合、という三つの論点に即して説明する。 (1)現代社会にとっての重要な社会問題群に対して問題解決を志向しつつ実践的にアプローチする。 現代の日本および世界が当面する重要な社会問題群として、グローバリゼーションと異文化接触に伴う諸問題、ローカルコミュニティから地球レベルにいたるさまざまな環境問題、メディアの発達・普及と情報化の進展の引き起こす諸問題、これら急変する社会システムの下での若者やハンディキャップを有する人々の直面している困難さなどの諸問題があるが、これらの諸問題の解明と解決のために、社会諸科学の実践的力を発揮することを志向していく。 (2)多様な問題領域を統合する共有の問題関心として「公共圏の創成と規範理論の探究」を設定し、現代社会に総合的にアプローチする。 「公共圏」概念は、ハーバーマスの労作『公共性の構造転換』以後、大きな注目を集めている。また、「規範理論」の探究は、20世紀の終盤以降、ロールズの『正義論』を一つの契機として、広範な関心が寄せられつつある。しかも「公共圏」と「規範理論」は内的に相関している。一方で、公共圏を形成するための規範的原則を意志決定手続や討議倫理に即して探究する必要があり、他方で、開かれた討論空間としての公共圏の存在は、普遍性のある社会的規範の探究と定義の根拠となるものである。 (3)社会問題の詳細な個別的・実証的研究を通して、具体的政策提言の平面と理論的平面で同時に実践性のある研究成果を目指す。 本プロジェクトの基本的な方法意識は、まず、詳細なフィールドワーク型調査によって個別の社会問題の特徴とそれを生みだすメカニズムを解明することである。その上で、それぞれの問題をとりまく社会関係や社会システムを、公共圏論の視点から検討し、どのような公共圏の在り方が、それらの問題解決の鍵になるのかを探究する。さらに、詳細な事例分析と公共圏論や社会システム論との対話を通して、規範理論の探究を目指す。その際、実践的有効性と直結する具体的な政策提言という平面と、規範的原則についての基礎理論的な平面を往復運動しながら、同時平行的に考察を進める。
|
Research Products
(5 results)