Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 康明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90170472)
長谷川 拓哉 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30360465)
濱 幸雄 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70238054)
田口 史雄 土木研究所, 寒地土木研究所, 上席研究員 (80414184)
桂 修 北海道立北方建築総合研究所, 研究科長 (40462329)
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Research Abstract |
本年度の研究実績をまとめると以下のようである. (1)材料の凍害劣化に関しては,凍結融解温度履歴下の小型モルタル供試体のひずみ量に与える飽水度の影響を示すとともに,この実験手法により,メソスケールの凍害劣化シミュレーション数値モデル構築のためのデータ取得が可能なことを明らかにし,モデルの基本的概念を提示した. (2)材料の凍害劣化に関しては,さらに,鉄筋とコンクリートとの付着性状の劣化機構がかぶりコンクリートの大きさによって変わりうること,すなわち,かぶりが大きい場合は内部と表面部の温度による伸縮の違いの影響を,かぶりが小さい場合は水の供給による凍害劣化の影響が大きいことが示された. (3)構造物の性能劣化シミュレーションに関しては,梁のかぶりコンクリートが凍害劣化を受けた場合の数値シミュレーションを実施し,圧縮側,引張側問わず,凍害劣化が生じると,部材降伏前の部材剛性が小さくなり,特に,引張側が凍害を受けた場合に,その影響が顕著であることが示された. (4)凍害劣化度評価統一指標に関しては,現場構造物の表面で測定する超音波伝搬速度と,ひび割れ密度及び圧縮強度とに相関がみられることを明らかにした.ただし,供用年数の長い構造物では,相関性が悪かった. (5)さらに,凍害劣化度評価統一指標に関しては,指標である微細ひび割れ量の測定方法の高精度度化を図った. (6)凍害を含む複合劣化要因下の劣化予測に関しては,暴露試験から温度変化だけでなく,内部の相対湿度の状況の把握が重要であること,夏場を想定した高温乾燥暴露試験における細孔構造の粗大化の考慮の必要性が明らかになった.乾湿繰返しを受ける場合でも適切な量と質の空気泡を連行することで凍害劣化の抑制が可能であることが示された. (7)凍害による耐久設計と維持管理システムに関しては,維持管理対策としての表面被覆を施工した場合,表面被覆材の透湿量が小さい材料ほど,耐凍害性が向上することを示した.
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