Research Abstract |
本年度は,私どもが魚類で発見した新規アドレノメデュリン(AM)ファミリーの生理作用を明らかにする目的で,AM1,AM2,AM5を合成してウナギの末梢と中枢に投与し,その循環調節作用おまび浸透圧調節作用を調べた。その結果,末梢に投与されたAM2とAM5は,これまで調べられたどの降圧ホルモンよりも強力にウナギの血圧を低下させた。いっぽう,AM2を脳室内に投与すると血圧が上昇したが,AM5は血圧を下降させた。浸透圧調節作用に関して,AM2はこれまで知られている最も強力な飲水惹起ホルモンであるアンジオテンシンよりもさらに強力に飲水を惹起した。また,AM2は血圧を変化させない低用量で抗利尿作用,抗ナトリウム利尿作用を示した。このように,AMフアミリーは魚類においてとりわけ作用が強く,飲水促進作用や抗利尿作用を持っことから,海水という高いいてとりわけ作用が強く,飲水促進作用や抗利尿作用を持つことから,海水という高い浸透圧環境への適応に重要な働きを持つ可能性が高い。浸透圧調節に関わる作用の中でも,本研究の主題である飲水調節作用がとりわけ高いことが注目される。 AMファミリーが飲水調節機構にどのように関わっているかをより深く理解するため,まず末梢に投与されたAMの脳内作用部位を同定している。現在その可能性が高い最後野(area postrema, AP)のニューロンがAMの投与により活性化されるかどうかをc-fos遺伝子の発現を指標に調べ,その関与がさらに示唆された場合は,局所投与実験や局所破壊実験により確認する。
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