Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60346038)
河村 知彦 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (30323629)
木村 伸吾 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90202043)
渡部 諭史 水産総合研究センター, 中央水産研究所, 主任研究員 (40371877)
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Research Abstract |
相模湾におけるカタクチイワシ仔魚の旬別孵化群の空間分布を追跡した結果,春季には湾外から三浦半島西岸沿いに来遊した仔魚が反時計回りに輸送されて約40日間で湾内から姿を消すこと,夏季には湾内全域で発生した群が反時計回りに輸送されて約30日間で姿を消すことが分かった。 耳石日輪による成長履歴推定法を確立し,北日本と西日本におけるヒラメの初期生態を比較した。浮遊期仔魚の成長速度は仙台湾が若狭湾より大きかった。仙台湾では初期成長速度が小さい群で変態期までの生残率が低かったが,若狭湾では成長速度依存的な減耗は見られず,浮遊期仔魚の生残率が北日本で大きく変動するのに対して南西日本で安定しているという,資源変動様式の南北差仮説が支持された。 トコブシ生息域の食物網には褐藻類と紅藻類にそれぞれ依存する二つ底性食物連鎖と二枚貝を中心にする浮遊性食物連鎖が推定された。捕食者としてはヒトデ,カニ類,肉食性の巻貝類が考えられ,アクキガイ科とエゾボラ科巻貝は主な捕食者として考えられた。また,エゾアワビ生息域で採集できたタコも高い窒素安定同位体比から重要な捕食者として推定された。 北海道,東京湾,三河湾,熊本県,長崎県,大分県でアサリの炭素窒素安定同位体比(δ^<13>C,δ^<15>N),貝殻成長線解析による成長速度推定,底質表面の植物色素濃度と粒状有機物(POM)の安定同位体比分析を行った。アサリ軟体部の安定同位体比から食性を推定すると,微細藻類に関する既往の知見から,愛知県東幡豆や長崎県小長井などでは底生性微細藻類に依存するのに対し,大分県中津干潟や北海道厚岸湖では浮遊性微細藻類の寄与率が相対的に高いと思われた。 大型アワビ類の浮遊幼生を対象として,産卵時期や資源保護区に産卵された浮遊幼生の分布と輸送過程を明らかにすることを目的に,観測データを数値モデルに同化させ,時空間的に高分解能な三浦半島長井沖の流動場を構築した。
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