2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病がメタボリックシンドロームの病態に及ぼす分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19209064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雫石 聰 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 教授 (00028789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 道夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00403056)
田中 宗雄 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90263300)
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00303983)
関根 伸一 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70506344)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 糖尿病 / 歯周病 / 血清脂質異常 / 炎症性サイトカイン / 動脈硬化性疾患 / 動物モデル / 歯周病細菌 |
Research Abstract |
本年度は,疫学的にメタボリックシンドロームおよび糖尿病と歯周病との関連性を調べ,さらに,そのメカニズムをマウスモデルによって解析することを試みた。 対象者を糖尿病患者98名および健常者24名とし,全測定部位のアタッチメントレベルが上位25パーセンタイルに含まれるものを歯周病有病者としてメタボリックシンドローム構成因子との関連性を調べたところ高血圧群および高血糖群において有意に歯周病有病者の割合が高かった。さらに,動脈硬化性疾患のリスク因子をロジスティック回帰分析によって調べた結果,高惣圧および歯周病有病が有意のリスク因子であることが明らかとなり,オッズ比はそれぞれ8.1と4.0であった。さらに糖尿病患者のうち歯周病有病群は健常群に比して有意に動脈硬化性疾患の既往が多く,また,血清中のICAM-1,過酸化脂質および歯肉溝浸出液中のCRPが有意に高かった。これは,歯周病が炎症性サイトカインおよび接着因子を介して動脈硬化性疾患に関与していることを示唆している。 次に,メタボリックシンドロームの動物モデルを作成し,歯周病細菌の感染が炎症性サイトカィンおよびアテローム性動脈硬化症形成に及ぼす影響を調べた。マウスを通常食群および高脂肪食群に分け,さらにそれぞれの群をP.gingivalis感染群と非感染群に分けた。高脂肪食群では感染の有無に関わらず,通常食群より著しい体重増加と高いコレステロール値を示した。高脂肪食群および感染群では通常食を与えた非感染群に比して,IL-6やTNFαの増加といった炎症性サイトカインの増加およびアテローム性動脈硬化が形成される傾向を認め,特に,高脂肪食を与えた感染群では他の群と比してそれらの傾向が著明であったことから,歯周病はメタボリックシンドロームによる炎症性サイトカインの増加促進に関与することで動脈硬化性疾患の発生に影響を与えている可能性が示唆された 現在は宿主側の免疫反応やアテローム硬化性機序を細胞レベルで検討中である。
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Research Products
(11 results)