2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける「地方的世界」の基層・動態・持続可能な発展に関する研究
Project/Area Number |
19252002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤井 勝 Kobe University, 人文学研究科, 教授 (20165343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 康弘 大谷大学, 文学部, 教授 (00216607)
北原 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (30107916)
魯 富子 天理大学, 国際文化学部, 准教授 (30303572)
樫永 真佐夫 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 准教授 (10342643)
首藤 明和 兵庫教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (60346294)
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Keywords | 東アジア / 地方 / 都市 / 農村 / 基層 / 社会変動 / 持続可能性 / グローバル化 |
Research Abstract |
本年度は、主には、地方都市・町の形成や発展の特質、そして地方都市・町-周辺農山漁村の関係から成り立つ「地方的世界」の全体的特質を、具体的な社会・生活の局面から把握するよう調査を進め、その結果、以下の諸点が明らかになった。なお本年度の研究成果の一部は中間報告書としてもまとめた。 1.これら都市・町の形成は多くは近代以前(おおよそ19世紀以前)に遡るので、それらは伝統性をもつが、近代以降の社会変化の中で形成された場合もある(韓国・東海市、ラオス・ウドムサイ)。「地方的世界」の領域は過去から現在へ常に単線的累積されたのではなく、連続・不連続を含むものである。 2.「地方的世界」の内容を構成する事項として、1)地方行政はもちろんのこと、市場、教育、医療、文化表象、宗教、民族などが重要であること、同時に、個々の「地方的世界」の特性によって、それらの事項に濃淡があることが明らかになった。また、2)「地方的世界」の内部構造の複層性、つまり地元の町が核となる基底的「地方的世界」、そして複数の基底的「地方的世界」が地方都市に統合されて形成するより大きな「地方的世界」が存在し、地方の生活や文化に奥行きを生み出してことが明らかになった。 3.「地方的世界」を超える社会的営為、具体的には人や物のネットワークの形成、そして様々な性格の人の移動が歴史的に「地方的世界」の構築・展開に意味をもってきたことも明らかになった。今後は、グローバリズムの問題とも結びつけながら、この側面に留意して調査研究を進める必要がある。 4.全部で4回の公開研究会を実施した。第3回目には、赤木攻氏(元大阪外国語大学学長・東京外国語大学GCOE特任教授)と小林一穂氏(東北大学大学院情報学研究科教授)に外部評価を依頼し、中間評価と課題の提起を得た。第4回目には、海外共同研究者を2名招聘し(中国、韓国)、研究成果を共有した。
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Research Products
(27 results)