2008 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン・カタロニアの伝統的石造民家(マジア)の修復・再生に関する研究
Project/Area Number |
19254004
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
入江 正之 Waseda University, 理工学術院, 教授 (40193700)
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Keywords | 建築史・意匠 / 修復・再生 / カタロニア / マジア / 伝統的石造民家 / 温熱環境 / 室内空気質 / コンバージョン |
Research Abstract |
平成20年度については研究計画に従って、前年度より実験施設でもあるマジア残存遺構A棟の3階建てA-1棟、およびA-2棟の修復・再生作業を継続して進めた。前者は既存壁体の内外に配した鉄骨架構体の主構造部と前者の間の空隙を塞ぎ、内部空間化を図った。また、A-2棟は既存壁体に依拠して、床、屋根のオリジナルエ法に準拠して建設し、集落のために使用されたパン窯の位置を特定し、復元し、また2階においては暖炉や、葦網による間仕切り壁の復元など、オリジナルの状態に戻す、修復・再生を行った。両棟の修復・再生の完了に伴い、まず始めに実験施設でもある2棟について、写真家による精細な写真撮影による記録化を行った。同時に、それら施設が建築意匠面においての検証、評価も併せて行った。次に、当該研究における主研究となる地球環境的視点からのマジア残存遺構の科学的分析として、2棟の室内空気質計測、室内温熱環境計測、室内気流測定などの建築環境調査を行った。研究対象遺構は現段階で常住状態にないため、周辺集落のマジアとして現在も居住して利用されている住宅や、当該地域にある現代住宅についても同様な計測を行った。これらの事例とも短期計測と、長期にわたる計測を合わせて行っている。また、年度末に、マジア残存遺構の第二段階終了に伴い、これらの修復・再生作業を動画として記録するため、マジア残存遺構や、この研究に携わったマジア残存遺構の在る当該市の市長や、工事を指導した工場主、左官職人などへのインタビュー、当該研究対象遺構の位置づけを明確にさせる空撮、また工事記録データーを残しているテレビ局などからの映像データーの採取などを行った。現在は動画編集作業中である。同時に、建築素描記録も行っている。当該実験施設を建築デザイン誌に紹介するとともに、この作品が今年度の第22回村野藤吾賞を受賞している。
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