2009 Fiscal Year Annual Research Report
モーリシャスサンゴ礁の白化の特異性:ミクロ生態系と物質循環の調査
Project/Area Number |
19255002
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 款 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 教授 (30252159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CASARETO Beatriz 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (60402244)
塩井 祐三 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70094092)
日高 道雄 琉球大学, 理学部, 教授 (00128498)
藤村 弘行 琉球大学, 理学部, 助教 (20398308)
山野 博哉 国立環境研究所, 研究員 (60332243)
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Keywords | モーリシャス / さんご礁 / 白化 / 物質循環 / ミクロ生態系 |
Research Abstract |
1997~1998年の大規模な海水温の上昇によりカリブ海・太平洋のサンゴの白化現象は80%であったが、インド洋に位置するモーリシャスのサンゴ礁の白化現象は非常に少なく10%程度と報告された。その特異性が海草群落との共存、窒素固定による藍藻の生産力が高いのではないかと考え調査を進めている。2009年の12月から2010年の3月にかけて海水温が29℃から31℃に上昇し、紫外線量もわずかに増加したが、モーリシャスのサンゴの白化の被害は、太平洋の沖縄、フィリピン等のサンゴ礁に比べ、少なかった。原因を確かめるために、モーリシャスのサンゴ礁の海水中の栄養塩・有機物・ピコプランクトン、海草群落とサンゴの被度の関係を2010年2月-3月に調査した。モーリシャスの西側のアルビオンを中心に上記の測定項目以外に、流速、水温、塩分、クロロフィル、海草の代謝産物のMAA、微量金属、アルカリ度、pHを測定した。モーリシャス海水中のバクテリアは4.3×10^5~8.1×10^5cell/ml、ピコシアノバクテリアは2.7×10^3~26.1×10^3cell/ml、またビブリオがエダコモサンゴから確認された。硝酸塩濃度は0.07~0.14μM,アンモニア濃度は0.10~0.18μMと比較的低い濃度であった。粒子態有機炭素濃度は40.6~62.7μg/lと沖縄およびニューカレドニアの66.5~82.4μg/lと比べて同等か、低い値であった。溶存態有機炭素濃度は42~53μMと、沖縄やニューカレドニアの海水中の65~89μMに比べて低い。モーリシャスではバクテリアの個数は沖縄やニューカレドニアに比べて同程度か少し高い値である。また栄養塩のうちケイ酸塩濃度が14-21μMと高い場所が見つかり、陸水の影響を受けていることがわかった。海草の代謝産物である紫外線吸収物質であるアミノ酸態物質(MAA)が検出された。また、海草の表面付近の海水の中の栄養塩濃度は高く、1.7-2.5μMであった。さらに、溶存有機炭素濃度も海草付近では高く、125-142μMとおよそ2から3倍である。海草の代謝活動がサンゴの白化を妨げる原因の可能性が示唆された。今までモーリシャスのサンゴ礁におけるこのような調査は皆無であり、異なる生態系との共存、バランスが生態系全体の保全に重要であることが示唆される。
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Research Products
(17 results)