2009 Fiscal Year Annual Research Report
チベット高原横断鉄道による野生動物への影響に関する研究
Project/Area Number |
19255005
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
星野 仏方 Rakuno Gakuen University, 環境システム学部, 教授 (80438366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 光一 東京農工大学, 農学部, 教授 (70436674)
浅川 満彦 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (30184138)
本川 雅治 京都大学, 総合博物館, 准教授 (30293939)
伊吾田 宏正 酪農学園大学, 環境システム学部, 助教 (60515857)
亀山 哲 (独)国立環境研究所, アジア自然再生グループ, 主任研究員 (80332237)
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Keywords | チベット高原 / 野生動物 / 青海チベット横断鉄道 / 哺乳類 / ココシリ保護区 / ARGOS衛星追跡 / チルー / 生息地モデル |
Research Abstract |
H21年度は中国側の協力のもとに、ココシリ国立自然保護区での調査・研究の許可とチルーの捕獲許可を取得することができ、予定通り7月29日~8月19日に青海-チベット横断鉄道沿線での現地調査を実施した。今までの2頭に加え、H21年度は更に2頭のメスチルーに衛星発信機を装着させた。現在合計4個体(ID-75835 ; ID-75836 ; ID-75838 ; ID-75842)のチルーを追跡し、越冬地と繁殖地の間の往来、及び鉄道との関係を調べている。小型班は、7月20日~8月25日まで鉄道沿線と自然保護区で調査を行い、標本を集めて、同定や解析を行い,動物相の実態について明らかにした。データ解析班はgreen movementの生息地モデルを開発し、チルーの季節移動と周辺環境の季節変化との因果関係を明らかにした。チルーの行動解析では、衛星追跡データのエラーチェック・精度分析を行い、チルーの行動パターンを明らかにした。例えば、ID 75835個体は2009年に鉄道を渡り、繁殖地に向かったが、結局何らかの原因で繁殖地のココシリHuiten Nurへ行かず、群れとの集団行動から外れ、鉄道沿線をウロウロしながら越冬地に戻ったことが分かった。これは今までになく、初めて分かったことであり、すべてのメスチルーが鉄道を横断した後、必ずしも繁殖地に向かうとは言い切れないことが分かった。これまでの3年間の追跡で、長江と黄河の発生源でもある"三江源"で越冬しているチルー集団のメイン繁殖地はココシリのHuiten Nur(中国名はZhuonai Hu)であることが分かった。また、越冬期は8月~翌年の6月の間で、繁殖期は6月~8月であることが分かった。"三江源"のチルーは越冬地から繁殖地まで毎年250kmの距離を移動していることも明らかになった。また現地調査では同時に植物のスペクトルの測定と植生の同定を行い、鉄道沿線における外来植物の進入、チルー喜食植物のリストを作成した。
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Research Products
(7 results)