2007 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ原発事故後の長期にわたる甲状腺がん分子疫学調査
Project/Area Number |
19256003
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 俊一 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 裕幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80237635)
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (00233198)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30295068)
中島 正洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50284683)
光武 範吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
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Keywords | 放射線誘発がん / 甲状腺がん / チェルノブイリ / 分子疫学調査 / 遺伝子多型 / がん組織バンク / 国際共同研究 / がん基礎研究 |
Research Abstract |
チェルノブイリ原発事故後激増した小児甲状腺がんの発生年齢ピークが、青年から若年成人へと移行している。現地に確立したチェルノブイリ組織バンクを活用し、また国際共同研究を推進し、甲状腺がん症例と対照症例のサンプル数を増やし、DNAチップを用いた網羅的遺伝子多型SNPs解析を行っている。本年度は255症例(放射性誘発甲状腺がん)と596例の対照コントロールについて解析を行い、以下の5標的遺伝子群9箇所のSNPs解析が終了した。ATM;G5557A、IVS22-77T-A、IVS+238C-G、XRCC1;R280H、R399Q、TP53;R72P、XRRC3;T241M、MTF-1,int1、int5。いずれも最終的なGenotypeの確認は直接塩基配列を解析し証明した。主たる研究成果は、これら個々のSNPsでは特徴的な放射線誘発甲状腺がんの感受性や抵抗性を示唆するグルーピングは困難であり、より症例数の増加が望まれる。その一方、これらSNPs組合せによる小児特異的あるいは成人特異的な甲状腺がん疾患感受性遺伝子が存在する可能性が示唆された。これら分子疫学調査に加えて、事故後発症する甲状腺がんが小児期から成人へと移行し、同一環境変異原暴露からの潜伏期の違いで臨床像、病理組織所見、遺伝子変化に違いがある可能性が示唆され、その観点から小児甲状腺がんの特徴を見出し、その診断から治療さらに予後予測を行っている。小児甲状腺がんは病理組織学的に悪性度が高いもののその臨床経過は良好で、現在760例の術後甲状腺がん(含む放射性ヨウ素大量療法)を国際共同プロジェクトの枠組みの中で追跡している。放射能汚染地域で活動する人材育成を目指し、人事交流や技術指導移転などロシア連邦オブニンスク医学放射線研究所、ベラルーシ共和国ミンスク甲状腺がん研究所、ウクライナ内分泌代謝研究所と推進した。さらにWHOとの連携を深め、緊急被ばく医療から晩発性低線量放射線人体影響の各種共同プログラムやガイドラインの策定に参画し、国際協調の下でチェルノブイリ分子疫学調査の推進が可能であった。
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Research Products
(24 results)