2008 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ原発事故後の長期にわたる甲状腺がん分子疫学調査
Project/Area Number |
19256003
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 俊一 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (00233198)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30295068)
中島 正洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50284683)
光武 範吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
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Keywords | チェルノブイリ / 小児甲状腺がん / 分子疫学調査 / がん組織バンク / がん基礎研究 |
Research Abstract |
平成20年度は、チェルノブイリ原発事故後に発症した甲状腺癌の分子疫学調査を継続し、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの3カ国からの患者情報を元に共同研究を推進し、またセルビア共和国ベオグラード放射線腫瘍研究所からも共同研究者を招聘し、ヒト放射線誘発がんの臨床病理学的解析とデータの比較検証会議を行った。更に京都大学ゲノム医科学センターとの共同研究としてベラルーシ共和国を中心とする新たな生体試料収集を行い、DNA抽出に続いて網羅的遺伝子多型解析を現在も実施中である。ウクライナ共和国キエフ市では、放射線医学研究所および内分泌代謝研究所と共催してワークショップを開催し、今なお継続する放射性ヨウ素内部被ばくによる甲状腺癌の発症増加のピークの成人への移行を明らかにした。ロシア原発労働者における疫学調査の予備会合を国際科学技術センターと共同開催した。分子疫学調査研究の継続に加えて、WHOチェルノブイリ専門家会議、低線量医療被ばく問題会議などへ専門家を派遣し、放射線被曝による甲状腺癌調査結果を報告し今後の研究の展望について協議している。研究成果の一部である被ばく年齢依存性に惹起される遺伝子変異の特徴については、米国ミシガン州立大学、シカゴにおける甲状腺学会、さらにヒューストのMDアンダーソン癌研究所において発表し、低年齢層における放射線被ばくのがんリスク増大を明らかにした。当初からの研究計画に従い、人材交流および試料提供による遺伝子解析は順調であり、臨床データとの照合によるチェルノブイリ原発事故後の甲状腺癌の特徴が明らかにされ、放射線感受性・抵抗性の分子機構解明の国際共同研究が進展している。
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Research Products
(26 results)