2007 Fiscal Year Annual Research Report
線条体投射経路を介する行動制御の神経回路メカニズム
Project/Area Number |
19300109
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 Fukushima Medical University, 医学部, 教授 (90211903)
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Keywords | 運動制御 / 線条体 / 投射ニューロン / ドーパミン伝達 / ドーパミンD1受容体 / 神経活動 / 遺伝子改変マウス / イムノトキシン細胞標的法 |
Research Abstract |
線条体は、運動制御、運動学習、強化学習などの重要な脳機能を媒介する大脳皮質-基底核ループ回路において中心的な役割を果たす。この領域の機能変化は、パーキンソン病、ハンチントン病、ジストニアなどの神経疾患の発病や病態と深く関係する。線条体には、形態・電気生理学的に異なる複数のニューロンタイプが存在し、線条体からの投射は主に2種類の経路(直接路と間接路)を介して出力核の活動に影響する。本研究課題では、イムノトキシン細胞標的法など個体レベルの遺伝子改変技術を利用して、2種類の線条体投射経路を介して行動を制御する神経回路メカニズムの解明に取り組む。本年度は、線条体-黒質ニューロンの自発運動と薬物誘導運動を媒介する神経回路における役割について解析した。イムノトキシン細胞標的法を用いて本ニューロンを除去するために、ドーパミンD1受容体(D1R)遺伝子の制御下にIL-2Rα/YFPを発現する変異体マウスを作製した。D1R-IL-2Rα/YFPマウスの線条体に組換え体イムノトキシンを注入することにより、線条体-黒質ニューロンの除去を誘導した。マウスの運動量を測定した結果、自発運動量は野生型と変異型マウスで変化はなかったが、ドーパミン遊離を促進するメタンフェタミンの投与による薬物誘導性の運動量はを変異型マウスで顕著に減少した。また、運動量の変化を特徴付けるために、無麻酔下のマウスを用いた単一ユニット記録法を用いて、線条体-黒質ニューロンの標的である黒質網様部における神経活動の記録に取り組んだ。以上の結果から、線条体-黒質ニューロンはドーパミン作用に依存する運動の促進に必須の役割を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)