2008 Fiscal Year Annual Research Report
線条体投射経路を介する行動制御の神経回路メカニズム
Project/Area Number |
19300109
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 Fukushima Medical University, 医学部, 教授 (90211903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 憲太 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70315662)
甲斐 信行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50301750)
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Keywords | 強化学習 / 線条体 / 投射ニューロン / ドーパミン伝達 / ドーパミンD1受容体 / 神経活動 / 遺伝子改変マウス / イムノトキシン細胞標的法 |
Research Abstract |
線条体は、運動制御、運動学習、強化学習などの重要な脳機能を媒介する大脳皮質-基底核ループ回路において中心的な役割を果たす。この領域の機能変化は、パーキンソン病、ハンチントン病、ジストニアなどの神経疾患の発病や病態と深く関係する。線条体には、形態・電気生理学的に異なる複数のニューロンタイプが存在し、線条体からの投射は主に2種類の経路(直接路と間接路)を介して出力核の活動に影響する。本研究課題では、イムノトキシン細胞標的法など個体レベルの遺伝子改変技術を利用して、2種類の線条体投射経路を介して行動を制御する神経回路メカニズムの解明に取り組む。本年度は、線条体-黒質ニューロンの強化学習の発現における役割について解析した。イムノトキシン細胞標的法を用いて線条体-黒質ニューロンを除去するために、D1R-IL-2Rα/YFPマウスの線条体に組換え体イムノトキシンを注入し、目的ニューロンが選択的に除去されていることを解剖学的に確認した。強化学習の課題として、視覚弁別課題を利用し、この課題においてマウスは2つのレバーのうち、視覚刺激が提示された側のレバーを押すと報酬が得られることを学習する。この弁別課題を獲得させた後、イムノトキシン処理により線条体-黒質ニューロンの除去を誘導し、その後の学習発現における変化を解析した。ニューロンを除去したマウスでは、課題の正答率に変化はないものの、反応時間が有意に遅延することが明らかになった。反応時間の遅延は、学習課題の継続により、数日後までに回復した。一方、標的ニューロンの除去は、学習と関係しない感覚性の運動反応(聴覚依存性の驚愕反応や熱性の逃避反応)の潜時には影響しなかった。 以上の結果から、線条体-黒質ニューロンは学習と関係する運動反応の促進に重要な役割を持つことが示唆された。
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Research Products
(8 results)