2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表層工学による次世代ナノバイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
19300176
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤本 啓二 Keio University, 理工学部, 教授 (70229045)
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Keywords | 細胞接着性ペプチド / 人工細胞外マトリックス / 細胞凝集体 / 伸展性 / 増殖性 / 細胞間接着 / 細胞組織の再構築 |
Research Abstract |
生体に見られる“細胞-組織・器官-個体"という階層性の構築において根幹を成すものは細胞接着システムである。物理的に細胞を接着・集合させ、生体組織を形づくるだけでなく、細胞の運動・増殖・分化といった機能の発現にも関与している。近年、細胞が持つこのような性質に注目し、人工材料と融合させたデザインによって新しい技術開発が活発に行われている。人工的に組織を再構築し、移植医療に用いようという生体組織工学もそのひとつである。われわれは、細胞接着システムを操作し、新規な細胞・組織の形態形成および機能発現を制御可能なマテリアルの作製を目指している(細胞超構造体工学)。本研究では、人工細胞外マトリックスとして細胞接着性ペプチドを固定化したポリマー鎖を作製し、細胞に作用させることによって3次元細胞構造体の構築と制御を試みた。 ポリマーを用いることにより凝集体の形成が促進される傾向が見られた。これらの凝集体をコラーゲンコートした基板に播種すると、ポリマーを作用させていない凝集体は端からゆっくりと崩壊が起こり、個々の細胞は伸展して移動したのに対し、ポリマーを作用させた凝集体の崩壊は速く、細胞は丸い形状で移動する様子が観察された。これはポリマーによって細胞表層が覆われることにより、細胞-細胞間および細胞-基板間の接着性が低下したことによると考えられる。さらに培養を続けると、ポリマーの脱離と共に細胞は徐々に伸展するようになった。また、ポリマーを作用させることにより凝集体を形成する細胞の増殖性は抑制された。次に、複数の凝集体を隣接して配置すると、凝集体どうしが相互作用することによって、分散状態で播種した際には見られない細胞の伸展が観察された。
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Research Products
(9 results)