2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表層工学による次世代ナノバイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
19300176
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤本 啓二 Keio University, 理工学部, 教授 (70229045)
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Keywords | 細胞接着性ペプチド / 人工細胞外マトリックス / 細胞表層改質 / ポリマーナノツール / 光固定化 |
Research Abstract |
リガンド・レセプター間結合を高め、細胞表層改質手法する新規手法を提案する。すなわち、リガンド固定化部位、光反応性部位、アフィニティ部位および解離性部位からなる多機能性ナノ分子(ポリマーナノツール)を作製した。骨格分子としてビオチン部位を有するラベル化試薬(Sulfo-SBED, Pierce)を用いて、この活性エステルと細胞接着性ペンタペプチドGly-Arg-Gly-Asp-Ser(GRGDS)を反応させてナノツール(SBED-GRGDS)を作製した。これをヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)へ添加し、キセノン光源(MAX-301,朝日分光)を用いて光照射(365nm,5min)することで、細胞へのナノツールの光固定化により改質細胞を作製した。この固定化により細胞表層にビオチンが導入されたことから、ビオチンーアビジン結合を利用することにより、アビジン固定化基板への細胞の集積化および細胞凝集体の形成が可能であった。次にタイムラプス顕微鏡観察によって改質細胞の移動性と伸展性について検討したところ、改質細胞の移動性に有意な低下が見られた。これは、細胞側のインテグリンレセプターとナノツールのペプチドリガンドとの結合が強固であるため、細胞周囲をナノツールが細胞外マトリックスのように取り囲んでいるためだと考えている。このように細胞の移動性を光によって制御し、かつ低下させることはガン細胞の転移・進行を抑制することにもつながると考えられる。さらに、このアフィニティはリガンド・レセプターの組み合わせによって、容易に組み替え可能であることから、ナノツールを幅広く医療分野へ応用することが期待できる。
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Research Products
(4 results)