Research Abstract |
I.腰椎椎間板変性と競技スポーツ活動種目との関係(疫学調査) ボート選手やウェイトリフティング選手の腰椎椎間板変性を調査し,ボート選手には69%,ウェイトリフティング選手には59%と椎間板変性が多く生じていることが明らかになった.本結果は我々が今まで調査した競技よりも椎間板変性保有率が高く,ボートやウェイトリフティング競技では腰椎に過剰な負荷が与えられていることが予想されるため,今後腰痛発症予防策などを考案する必要があると考える. II.競技スポーツ活動時の腰椎挙動・腰椎ローカル筋筋活動の解明(生体力学的研究) ワイヤ筋電図を用い,様々なスポーツ動作時の腰椎ローカル筋(腹横筋,多裂筋)筋電図解析を行った.その結果,ランジ動作では多裂筋が活動すること,骨盤前傾運動には多裂筋,骨盤後傾には腹横筋が他の筋よりも有意に大きく活動すること,ラグビーのスクラム動作時に腹横筋の活動量が有意に増加すること,テニスのサーブ動作に利き手と反対側の腹横筋の活動が大きくことが明らかになった.以上から,腰椎ローカル筋はスポーツの基本動作や各種スポーツ動作において重要な役割を担っていることが明らかになった. III.Stabilization exerciseによる腰痛者への介入研究 整形外科外来に来院した腰痛患者に対し初診時に初期評価を行い,運動療法が適応となる患者に腰椎Stabilization exerciseを実施・指導し,定期的に行わせた.初期評価では,疼痛,理学所見,姿勢,筋力,筋形態,ADL, QOLなどを調査し,介入前後において各パラメータの変化を検討する.本課題は現在実施中であり,今後研究成果を報告する予定である. 以上から,スポーツ活動には腰椎椎間板変性や腰椎ローカル筋が大きく関与していることが明らかにされた.今後はパフォーマンス向上や傷害予防に有効な運動療法を解明していく予定である.
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