2007 Fiscal Year Annual Research Report
肥満による脂肪組織の慢性炎症に対する運動効果:その分子機構とマクロファージの役割
Project/Area Number |
19300223
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大野 秀樹 Kyorin University, 医学部, 教授 (00133819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木崎 節子 杏林大学, 医学部, 准教授 (00322446)
櫻井 拓也 杏林大学, 医学部, 助教 (20353477)
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Keywords | 運動 / 肥満 / 脂肪組織 / マクロファージ / 慢性炎症 / アディポカイン / PPARγ / ポリフェノール |
Research Abstract |
平成19年度は、次の基礎実験を行った。 1.脂肪組織の酸化ストレスに対する運動トレーニングの影響を検討した。ラットをコントロール(C)群とトレーニング(T)群(週5日、9週間のトレッドミル走)に分けた。T群の皮下組織には差がみられなかったが、副睾丸、後腹膜周囲の脂肪組織の活性酸素量はC群と比較して有意な低値を示した。また、T群の脂肪組織のmonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)、TNF-αのタンパク量が減少し、MCP-1は血中濃度も低下した。さらに、MCP-1の発現に重要であり、酸化ストレスによって制御されるextracellular signal-regulated kinase(ERK)のリン酸化と転写因子c-fosのタンパク量もT群で減少した。以上のことから、運動トレーニングは酸化ストレスを軽減することにより、炎症性アディポカインによる脂肪組織の炎症反応を抑え、生活習慣病を予防・改善する可能性が示唆された。 2.経口血糖降下薬・グリクラジドは、成熟脂肪細胞の核抽出物におけるproxisome proliferator-activated receotor γ(PPARγ)のDNA結合能を低下させ、転写活性にも作用することを明らかにした。こうして、グリクラジドは、細胞内情報伝達系を制御することによって肥満の予防.治療にも寄与することが示唆された。 3.ライチ由来新規低分子ポリフェノールは、高脂肪食による肥満マウス・脂肪組織において抗酸化作用を示し、炎症性サイトカイン遺伝子の発現抑制作用もみられ、肥満の予防・改善に有効なツールになることが示唆された。 平成20年度は、これらの成果をベースにして、肥満による脂肪組織とマクロファージの慢性炎症に対する運動効果を追求したい。
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Research Products
(38 results)